前回、前々回と、70代夫婦の熟年離婚の相談例をお伝えしてきました。今回は、熟年離婚を究極の「終活」としてとらえたときのお墓問題についてご紹介します。
耐え続けた母の「卒婚」
応援できますか?
「もし僕がいなかったら、母さんは父さんと、とっくに離婚していただろうな」
子どもの頃のことを今、振り返ってみて、そんなふうに思ったことはないでしょうか?
例えば、母が育児の悩みを相談しようにも、父が「お前がやっとけ!」と逆ギレしたり、父の携帯電話の中に裸の女性と一緒に映っている写真を発見したり、騒音トラブルがもとで父がお隣さんを殴ってしまい、引越しを余儀なくされたり…。母は何があってもぐっと我慢して、あえて何も言わず、とにかく耐え忍ぶ――。
これらのエピソードはあくまで一例ですが、そんな母親の背中を、そして涙を目の当たりにしたことはないでしょうか?心当たりがある人とって、それは1度や2度ではないでしょう。それなのに母親が『離婚』の二文字を行動に移さなかったのは、なぜでしょうか?
やはり「子はかすがい」なのでしょう。世間体が悪い、経済的に不安だ、そして「あんな夫でも、子どもにとって父親なのだから」という情けです。しかし、現在はどうでしょう?もし、あなたが40代なら、両親は60~70代くらいでしょうか。子どもは大人になり、すでに立派に成長し、安定した収入を得て、新しい家庭を築いているのなら、もはや「子どものため」だけに、これ以上、苦虫を噛み潰し続ける理由がどこにあるでしょう。
実際のところ、厚生労働省(人口動態統計)(※)によると、離婚した夫婦のうち、同居期間が20年~25年のケースは、昭和50年にはわずか4050組でしたが、平成25年には1万7405組に達しているようです。ここに該当するのは、子育てを終えた夫婦が多く、38年間で約4倍に膨れ上がっているのが現状です。
これがいわゆる「卒婚」ですが、あなたはお母さんの卒婚を応援できますか?あなたが突然、こんなふうに打ち明けられても不思議ではないのです。
「実は…お父さんと別れたいと思っているのよ。あんたはどう思う?もちろん、あんたはお母さんの味方よね」と。