粉飾に手を出した銀河高原ビール

 ところが、ブームを横目に浮かない表情のメーカーもいる。全国に約200ヵ所ある、小さなクラフトビールメーカーたちだ。

「世間ではもてはやされていますけど、実際のところ、収益は厳しいですよ……」。都内某所の居酒屋で、あるクラフトビールメーカーの営業担当者は、小さくため息をついた。

 世間のイメージとは裏腹に、クラフトビールメーカーの経営は、決して順風満帆と言える状況ではない。むしろ“苦しい”という表現が適正なほどだ。

 巨額の設備投資、複雑な販売免許、そして問屋の特約店制度に代表される古い流通制度……。ブームとはやし立てられる一方で、小さなメーカーが利益を生むには、多くの“壁”が立ちはだかっているのだ。

「今のままでは、クラフトビールメーカーのほとんどは生き残れないでしょうねぇ」。冒頭の営業マンは、苦笑いを浮かべながら肩を落とした。

 そんな折、今年3月に発生した、ある“事件”で、クラフトビールの苦境が浮き彫りになった。銀河高原ビールの粉飾決算が発覚したのだ。銀河高原ビールは、地ビールブーム時に業界トップの販売数を誇り、ブームの牽引役として知られる“業界の雄”である。 

 ところが、99年頃からブームが下火になり経営環境が悪化。全国3ヵ所の工場などの過剰投資が負担となり、06年にあえなく倒産に追い込まれた。

 倒産後も、親会社の日本ハウスホールディングスの支援で生産を続けたが、赤字体質からは抜け出せなかった。