熊本地震以降、復興の足を引っ張りかねない消費税率引き上げの先送りを予想する声が増えた。先送り、引き上げの双方のケースにおいて、消費行動、金利、為替、株価の行方を予想する。(「週刊ダイヤモンド」2016年5月14日号特集「消費増税『先送り』の是非」より)

 消費増税は日本の景気や金融市場に大きな影響を及ぼす。景気や国債、為替、株式市場はどう反応するのか。

「週刊ダイヤモンド」編集部では、消費税率引き上げが予定通り実施された場合、先送りされた場合の影響について、インターネットを使い、一般消費者にアンケートを実施した。

実施なら消費を減らすと半数が回答

 上表にあるように、消費税率引き上げが先送りされても「消費は変わらない」という回答が半数以上を占めている。個人消費の低迷が裏付けられるデータだ。

「消費増税が先送りされれば家計は助かる。でも消費は増やさない」
「いずれ増税される。だから消費行動は変えない」

 これらのコメントは先送りされた場合、消費行動にどう影響するかについて聞いた問いに対する自由回答の代表例である。

 一方、消費税率引き上げが予定通りに実施された場合は、ほぼ半数が「消費を減らす」と答えた。税率アップに見合うほど賃金が上がっていない現状では、引き上げで実質賃金は減少する。当然の結果だろう。

 引き上げ先送り自体は減税ではないので、景気を刺激することはないが、予定通り実施された場合に予想される消費のより一層の低迷がなくなる分、足元の景気を下支えする効果は期待できる。

 経済全体はどうなるか。2017年4月に消費増税が実施されなければ、16年度後半に駆け込み需要は起きず、17年度前半に反動減も起きない。先送りによって16年度の成長率は低くなり、17年度の成長率は高くなる。