リリース配布に代わる
広報活動をなぜしない

 読まれていないのであれば、ニュースリリースとは別の方法を考えればよい。リアクションがないならば、そんな放送などやめて、個別にコンタクトできる場所を探せばよい。「しばり」に企業の広報担当者ががんじがらめにならずに、これはという記者に情報提供すればよい。

 事実、リアクションのないニュースリリース投函の館内放送を横目に、記者の席に入ることが許容されている記者クラブで、記者の席をたずねて名刺交換を試みると、ほとんどの記者が手を休めて、丁寧に名刺交換してくれた。ニュースリリースを差し出した時には書類箱を指した記者も、「ご挨拶をさせていただけますでしょうか」と、名刺を渡そうとすると、席を立って名刺交換に応じてくれた。後日、名刺交換した記者に新しい情報を提供したら、何人かの記者の方は関心を持ったようで、取材をしてくれた。

 「無駄な鉄砲数うちゃ当たる」と言う言葉がある。少しの無駄であれば、鉄砲を撃ち続けることもひとつの方法だろう。しかし、記者クラブでの企業広報担当社の動きは、無駄の度合いが大きすぎる。「であれば、別の方法を考えて実行していく」という普通のことができなくなっている、思考停止のトンデモ状態なのである。

 私は20年来、素直で周囲と調和する能力は高いが、まわりの価値観に盲従するタイプではなく、自身の内面に確固たる価値基準があり、まわりの価値観や慣習に左右され過ぎずに新しい価値基準を作り出し、行動できるタイプの採用を心掛けてきた。

 残念なことに、年々後者のタイプは減少していることを肌で感じている。しかし、一方で、柔軟思考による課題解決力向上のトレーニング実施の強い要望も受けている。思考停止のトンデモ状態からの脱却が始まりつつあると思いたい。

※社名や個人名は全て仮名です。本稿は、個人の見解であり、特定の企業や団体、政党の見解ではありません。