マークアップ率は業界によっても大きく異なります。

 貴金属や家具などは店頭での在庫期間が長く、催事やイベント以外ではたまにしか売れない商品なので、マークアップ率が高く設定されています。会社のブランド価値によって増額されることもあります。

 また、研究開発費や広告宣伝費が多い医薬品や化粧品のマークアップ率は高く、そのため粗利率も高いです。

 同じように、メガネも粗利率は高いです。原価率そのものは低いのですが、ウィークデーにはあまり売れず土日祭日にお客様が集中する商売のため、家賃や人件費などの販管費が多くかかります。そのためマークアップ率が高くなっていると見ることができます。

 一方、日用品を扱う業界ではマークアップ率は低いです。価格競争が激しいので、毎日のように売値を変更しています。スーパー、ドラッグストア、通販などがそうです。インターネット通販の場合には、価格の検索ソフトが常時働いていて、つねに最低価格をつけているというサイトもあります。

売値を間違えると大変なことに!

 売値の決め方は重要で、原材料費などのコストが上がってきたら売値を上げないと利益を確保できなくなります。値上げをどのようにお客様に理解してもらうかが大切です。

 お客様が値上げの理由を理解するだけでなく、その値上げによって品質や価値が上がったと認めた場合には、値上げ後も売れ行きはほとんど変わらないと思います。したがって、そのような価値向上の努力をつねに怠らないことが大切です。

 逆に、値下げに関しては原価割れのおそれがあるので、値下げのタイミングと値下げ額を慎重に検討しなければなりません。

「夕方5時半以降は半額」などという生鮮食品の見切り値下げ、土日祭日に限定した値下げ、価格改定による値下げなど、いくつかの形はありますが、売れ残って廃棄するよりは原価割れしても売り切る、という決断が求められる場面もあるでしょう。

 元請会社にいわれた無理な価格のまま何年も受注しているとか、為替がよいときに決めた販売価格で取引してきたけれど最近では損失が出ている、などの話も耳にすることがあります。いくら元請けに対して弱い立場とはいえ、定期的に請負金額の見直しが必要なのではないでしょうか。交渉のタイミングを逃してはなりません。

 別の事例ではこんなことがありました。