舛添要一都知事へのバッシングが止まらない。政治資金問題について度重なる釈明会見を繰り返している都知事に対して、世論は厳しい。最新のアンケートでは95%以上が「納得できない」と回答している。血税を自分勝手に使うことはもちろんあってはならないこと。とはいえ、都知事を批判している人の中にも、日常生活で似たような経費の使い方をしている人は、実は少なくないだろう。とりわけ企業の職場は、使途が不明瞭な経費の宝庫。あなたの会社に経費の「抜け道」はないだろうか。ビジネスパーソンに本音と実態を聞いてみた。(取材・文/上野哲、鎌田和歌)
舛添バッシングを教訓に考える
あなたの「倫理観」は大丈夫?
5月某日、都内にある舛添要一都知事の自宅兼事務所付近は、ものものしい雰囲気に包まれていた。「都知事をやめろ!」と怒鳴る街宣車と、周囲を警戒するパトカーや警察官。また、都知事が政治資金を使って飲食した疑惑が指摘されている天ぷら料理店、イタリア料理店の近くには、カメラを持ったマスコミの姿があった。
世間をにぎわしている、現職都知事の政治資金問題。家族と行ったホテルや旅館などの宿泊施設では、毎年のように政治資金が使われていた。「会議だった」と釈明してはいるものの、Twitter上には「家族サービス」と自分でつぶやいた形跡が残っているなど、もはや誰も信じるものがいない状況だ。
これまで数回にわたって釈明会見が行われているものの、都民の怒りは収まるどころか増すばかり。6月6日に行った会見で公表された調査報告書では、宿泊費6件と飲食費14件について「違法性はないが政治資金の支出として不適切」と指摘されたが、114万円の返却などを行うのみで辞職は否定した。この会見での説明について、ヤフーの意識調査「舛添知事の説得に納得?」では、6月8日17時までに17万6325票が投じられ、96.3%のユーザーが「納得できなかった」を選んでいる。
コメント欄には「法的に問題ないのはわかってます! 道義的責任ですよ!」「公私混合だけでなく、都民を馬鹿にしている」など辛辣な声が並ぶ。
四面楚歌状態とも言える舛添都知事。もちろんその責任は追及されるべきだが、一方で、なぜこのような「公私混合」がこれまでの数年間、ノーチェックで見過ごされてきたのかも、疑問視されるべきではないか。後ろめたいことだとはわかっていても、監視役がいなければ少しずつタガが外れてしまうのが人の常。さらには「舛添知事は運が悪かっただけ。あのくらいのごまかしはこれまでの都知事もやっているだろう」という声も聞こえてくる。舛添都知事を「見せしめ」として、今後は政治資金の支出が厳しく監視されることになるのだろうか。