しばらくご無沙汰しておりました、アバナードの安間です。今回は、大きな視点のお話をいくつか、書いてみたいと思います。
昨年11月、札幌市の「秋元克広市長と考えるICT戦略」と言うイベントで、講演をさせて頂く機会がありました。メインスピーカーは、私と、日本経済研究センター研究本部、主任研究員の高地圭輔氏で、その後、秋元市長を交えて、パネルディスカッションを行いました。
高地さんのお話は、興味深いものばかりでした。とりわけ触発されたのは、産業革命による「動力」の獲得と、現在の、デジタル、クラウドなどの新たなIT革命によって起きていることの類似性を示し、そこから得られる日本のとるべき選択に関する示唆でした。
先生によると、産業革命は「蒸気」による動力がもたらしたイノベーションであり、この結果、大工場は動力を得たが、欧米では「家内工業」は、蒸気が大きな設備投資を必要とすることから、動力を得ることができず、取り残されていった。
しかしかつての日本は、電力革命によって、小規模の工場の動力化に成功し、「家内工業」は競争力を復活させた。
これはITに対する状況に似ていて、日本においては、企業規模の大小を問わず、ITへの更なる投資が今後の成功へのカギとなる、ということだったと思います。
このことから、私の得た示唆は…。
「大規模なコンピュータの導入は、多大な設備投資を必要とすることから、大企業の生産性を大きく向上させた。その後のコンピュータの小型化と低コスト化によって、中小企業についても、多少なりとも生産性の向上はされたもの、大企業のそれと比べ、必ずしも同等とは言えないレベルだった。
現在のクラウドとデジタルは、中小企業に対しても大企業と同等のIT動力の獲得を、しかも非常にスピーディに可能としている」
ということです。