グローバルストラテジーを理由にするのであればグローバルで一番知られているダットサンに社名とブランド名を統一するのがいいという彼らの考えは経済合理的なアイデアとしては正しい。

 日産の事例はそのことよりも、創業者から始まるコンツェルンの名称を、その時代のサラリーマン経営者が変えることなどできないことを示している。費用が余計にかかったとしても、世界統一ブランドは日産にしなければ、日本人が経営するサラリーマン組織では軋轢が生じて、動かなくなってしまうということなのだ。

 逆にもしこの問題が2000年まで放置されていたら、おそらくカルロス・ゴーン氏は社名をダットサンに変えることを検討したのではないだろうか?

高級車ブランド「アキュラ」は
ホンダ製を隠したことで成功

 さて、自動車業界には逆の例もある。ホンダのアキュラ、そしてトヨタのレクサスである。この話としてはホンダがさきがけであり、事例としてもホンダの方が説明しやすいのでホンダの話を説明しよう。

 アキュラとは1986年にホンダがアメリカで展開を始めた高級車ブランドだ。販売を始めた当時のラインナップとしては高級車のレジェンドとスポーティーカーのインテグラを展開していた。

 この時期、ホンダは北米市場で圧倒的な消費者の支持を受けていた。自動車ディーラーの店頭では、通常は自動車を買うのに値引きがいくらになるのかが重要なのだが、この時期のホンダ車は、人気のシビックを購入するためにはディーラーに対して消費者がプレミアムを支払う必要があった。それくらいホンダ車は人気があった。

 ところがホンダ人気はあくまでシビックに代表される大衆車での話である。高級車となるとホンダはアメリカ人の頭の中には選択肢として入ってこない。