2033年前後に訪れる
中国経済のゼロ成長化

 ところで、こうして総資本ストックや総労働が計算された値になれぱ、経済は定常化し、よってゼロ成長となるが、逆にいうと、そうならないまでは経済が成長するので、総資本ストックと総労働が「現在」の配分比率から「ターゲット」=定常時点の値まで一定スピードで変化すると仮定すると、当然その期間は資本蓄積と経済成長が続くこととなる。

 だが、すでに「ターゲット」の1人当たり資本ストックは決まっているので、問題はそれに到達した時点でちょうど資本蓄積と経済成長が停止するような「スピード」はどの程度か、ということとなり、これもまた我々のモデルで計算することができる。計算上は、先に「ゼロ成長化」の時点が確定し。次に年率の成長率の低下が計算される。その結果は、「ゼロ成長化」が2033年前後、年率の成長率の低下が0.35%というものとなった。

 この結果も示唆的である。なぜなら、たとえば上述した2014年から2015年までの成長率の低下も、ほぼ正常なものと言えるからである。

 これに加えて興味深いのは、「ゼロ成長化」の2033年という数字は、日本における「ゼロ成長化」の1990年前後に比べて、ほぼ40年の差があるということである。

 これは、2016年現在の中国が1970年代半ばの日本に等しいことをも示すから、これはちょうど日本の石油ショックと同様の経験を現在の中国がしているということとなる。日本経済はこの混乱の中で高成長から中成長への転換を遂げた。このことからすれば、中国における現在の「混乱」はこれまで「常態」であった高成長から、「新常態」たる中成長への転換を経験しているということとなる。

 なお、こうして到達する2033年の中国のGDP総額は、2009年の6倍強と計算された。これはすでに「ゼロ成長化」している日本のGDPの約5倍となる。もっとも、中国の人口は日本のほぼ10倍であるから、それでも1人当たりGDPに直すと日本の約半分である。

(1) 日本との差が40年であれば、韓国との差が20年という考えもありうる。そして、そうすると現在の中国は1990年代半ばの韓国ということになろうか。韓国はちょうどその頃、アジア通貨危機に見舞われ、その結果成長率が高成長から中成長に転換することとなった。