改めて先の本で確認したところ、冷凍食品に関しては、結局、進出してわずか5年で撤退していた。

 話を聞きながら頭に浮かんだのは、2014年3月に発売した「ガリガリ君リッチ ナポリタン味」のネタである。「斬新すぎる味」として話題を呼ぶも、まったく売れず、3億円の赤字を出した失敗作。もしかすると、この手の“暴走”は、この会社のDNAに組み込まれているのかもしれない。

「ガリガリ君」工場見学はなぜ倍率500倍の大人気なのか昔のガリガリ君、そしてカブトムシやクワガタが当たるクジをつけていたアイスのパッケージ
Photo by T.U.

「この透明なパッケージも、見たことがないですね」

「景品としてカブトムシやクワガタが当たるクジを付けていたんですよ」

「そんな生モノを景品に……」

「届いたら死んでいたという話も、あったようですからね」

 カブトムシを景品にしていたのは「80年代前半ではないか」という。

 それにしても、発想がナナメ上を行っている。「成功の陰に失敗あり」とは言うが、この会社の場合、成功なのか失敗なのかさっぱりわからないところがミソである。失敗もすべて「ネタ」にしてしまうからだ。

総額200億円を投資した
ガリガリ君製造ラインの全貌

「ガリガリ君」工場見学はなぜ倍率500倍の大人気なのか今日はちょうどガリガリ君の製造日だった
Photo by T.U.

 工場見学のピークはやはり、子どもたちが夏休みを迎える8月だ。「狙い目は2月です」とのことなので、抽選に外れたみなさんはその頃にまた挑戦してみていただきたい。ちなみに、工場の名前に付いている『5S』とは、「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」のそれぞれの頭文字を表現している。

「こちらがガリガリ君のラインになります」と、箕輪さんがガラス張りの向こうを手のひらで示す。

「今、ちょうどアイスの元を作っているところです」

 原材料は水、砂糖、果汁、水あめなど。ガリガリ君ソーダ味に付いている水色の正体は「スピルリナ」という藻の一種から抽出した青色色素を使っているという。

「ガリガリ君」工場見学はなぜ倍率500倍の大人気なのかガリガリ君のアイスの元を混ぜたものに圧力をかけ、分子の大きさを均一にする機械。これによってなめらかな食感を生み出すという Photo by T.U.

 混ぜて均質化し、加熱殺菌されたアイスの元はまず、エージング室に並んだタンクの中で冷やされる。1つのタンクに入っているアイスの元は8000リットル。ガリガリ君が10万本作れる量だ。

 ご存じ、ガリガリ君は外側が柔らかくて、中がガリガリ。ということは、型に入れる工程も大きく2段階ある。まずは、マイナス32度以下に冷やされた型の中にアイスの元を入れて凍らせる。外側が固まったところで、内側の固まっていない部分だけを吸い出す。そこに、食べるとガリガリするかき氷を注入し、アイスの元で蓋をする。最後に棒を刺して冷やし固めると完成だ。