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データサイエンティストの冒険

インバウンドはここからが勝負
「訪日リピーター」をどうやって育てるか

――「爆買い」から「体験」へつなぐデータ戦略

工藤卓哉 [アクセンチュア]
【第16回】 2016年9月15日
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個人商店でも外国人観光客の
マーケティングが可能に

 昨年12月からはその簡易バージョンとして、個人でも手軽に訪日外国人の動きを可視化できる「インバウンド・レーダー(Inbound Radar)」や、今年の6月からは訪日外国人に向けて情報配信ができる「インバウンド・キャッチャー(Inbound Catcher)」というツールの提供もはじまりました。

 これらサービスを利用すれば、街中にある小さな個人営業のお店であっても、ピンポイントで訪日客を呼び込むことが可能になります。

 もし多くの訪日客に対し、団体旅行では味わうことができない特別な体験を提供することができれば、旅行の満足度を高め、リピーター客として再来日を果たしてくれるかもしれません。

 筆者は、こうした取り組みによって、日本人が提供したい情報を一方的に発信するのではなく、訪日客一人ひとり異なるニーズや、志向に合わせた情報を提供することを目指し、このプロジェクトに関わってきました。

 東京や大阪、京都のような定番の観光スポットだけでなく、路地裏の小さなお店や、地方の小さな街や村の隠された観光資産が掘り起こされれば、日本のインバウンドビジネスはさらに大きな成長を手にすることができるでしょう。

 これから日本の観光産業が「おもてなし2.0」ともいうべき、新しい段階に入るためには、事実やデータから、商品やサービスを発想することが重要なのです。

 しかし筆者の目には、日本企業の多くが、データをもとに決断することに躊躇しているように見えてなりません。なにが彼らを押し留めているのでしょうか。次回はそのことについて考えてみたいと思います。

データ参照元
「訪日外国人消費動向調査」
「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関する現状調査」

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工藤卓哉
[アクセンチュア]

Accenture Data Science Center of Excellence グローバル統括 兼
アクセンチュア アプライド・インテリジェンス マネジング・ディレクター
ARISE analytics Chief Science Officer (CSO)

慶應義塾大学を卒業しアクセンチュアに入社。コンサルタントとして活躍後、コロンビア大学国際公共政策大学院で学ぶため退職。同大学院で修士号を取得後、ブルームバーグ市長政権下のニューヨーク市で統計ディレクター職を歴任。在任中、カーネギーメロン工科大学情報技術科学大学院で修士号の取得も果たす。2011年にアクセンチュアに復職。 2016年11月より現職。 データサイエンスに関する数多くの著書、寄稿の執筆、講演活動を実施。


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近年テクノロジーと数理モデルによってもたらされるアナリティクスが、ビジネスを大きく変えようとしている。データの高度な活用から次の打ち手を見出す力、アナリティクスの決定的な優位性を最前線から解説する。

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