工藤卓哉
ChatGPTの台頭を機に、あらゆる分野で生成AIの活用が進んでいる。だがビジネス界では、このテクノロジーが「あらゆる課題を解決する救世主」だと誤解し、ムダな投資を重ねている経営者もいるようだ。マッキンゼーのパートナーであり、長年データサイエンティストとして活躍してきた筆者が、生成AIブームの現状と本質を斬る。

IT活用で後れを取る日本にとって、「行政サービスのデジタル化」が重要なのは言うまでもない。しかし、その要といえるマイナンバーカードを巡っては、連日深刻なトラブルが報道されている。開発体制やシステムの不備、政府の対応のまずさを指摘する声が高まるなか、データサイエンティスト/経営コンサルタントである筆者は、それ以上に根深い問題があると見ている。その中身とは?

社会のデジタル化を強力に推進してきたGAFAMだが、その快進撃も今は昔。コロナ禍の後遺症やウクライナ情勢の長期化に伴う資源高、原材料の供給不足、インフレ、高金利などの影響で、各社ともかつての驚異的な成長率や収益性に陰りが見えつつある。現在は、どの企業もレイオフやコスト削減に取り組んでいる状況だ。こうした状況を踏まえると、これまで以上に優秀な人材の流動性も高まっているはずだが、日本企業が雇用の受け皿になっているという話はどこからも聞こえてこない。なぜ日本は高度外国人材獲得の好機を生かせないのか。日米のビジネス事情に精通した筆者が分析する。

大規模言語モデル(LLM)を搭載した対話型ジェネレーティブAIの「ChatGPT」が世界を席巻している。利用者はリリースからわずか2カ月で1億人を超え、さまざまな業種やサービスで利用が進んでいる。データサイエンティスト/経営コンサルタントとして活動する筆者は、技術的な進歩に目を見張る一方で、「自分のような職種も危ない」と危機感を禁じ得ない。その真意をお伝えしたい。

自然言語で問いかければ説得力のある回答を返してくれるAIチャットボット「ChatGPT」が話題だ。こうしたAIの進化を下支えしているのが「ビッグデータ」「アルゴリズム」「計算資源」の3つだ。中でも計算資源の中核をなすロジック半導体の開発競争が世界的に過熱している。かつて半導体王国の名を欲しいままにした日本は、この領域で勝機はあるのか。データサイエンスを通じて半導体を熟知する筆者が、日本の半導体産業が復興する上で必要な施策について提言する。

日本人は和を重んじる民族で、協調性が高い――。そんな定説を覆す「不都合な研究結果」をまとめた論文が、2000年代前半に世に出ていたことをご存じだろうか。「ゲーム理論」を応用した同研究では、日本人は米国人よりも、相手を出し抜く利己的な振る舞いを好む結果が出たという。米国でのビジネス経験が長い筆者の目には、確かに日本企業の社内では、社員同士で「なぜアイツがプロジェクトに選ばれるんだ」といった嫉妬や怨恨が起きやすい印象だ。そうした風土を変えるには、どんな手だてが必要なのか。

「失敗を恐れず挑戦せよ」。ビジネスの世界では、新規事業に取り組む際に、こうした聞こえのいい言葉がよく使われる。だが、失敗にも良しあしがある。特に日本の大企業では「スタートアップと手を組み、実証実験を始めた」「DXビジネスの専門部隊を立ち上げた」などと華々しく発表したものの、収益化につながらず、いつの間にか終了していることがある。これはもちろん「悪い失敗」であり、投資額の無駄使いだ。なぜ歴史は繰り返されるのか。どうすれば脱却できるのか。米国での長きにわたる業務経験を持つ筆者が提言する。

データサイエンティストとして日・米・欧で実績を上げてきた筆者は最近、奇妙な出来事に出くわした。企業のトップを務める知人たちから、別々の会議や会食の場で、一様に「経営者に求められる資質が変わり始めている」と熱弁されたのだ。彼・彼女らによると、かつて投資家が出資先を決める際、判断基準となるポイントは収益性だったが、今では異なる点が重視されているという。知人の声や筆者の実体験から導き出した、今の時代に求められる「勝てる経営者」の資質を解説する。

優秀なIT人材の採用に成功し、ビジネスの最前線に投入できる企業と、採用すらままならない企業との間にはどのような違いがあるのだろうか。データサイエンティストでありながら、人材獲得にも深く関わってきた筆者の実体験をもとに紹介する。また筆者の考えでは、優秀なIT人材を獲得したい日本企業は、出身大学で採用の可否を決める“愚かな選考基準”から脱却すべきである。そう言い切れる要因についても解説していく。

テクノロジーが進化し、「データサイエンス」という言葉が広く知られるようになった。だが今でも、その実務を担う「データサイエンティスト」という職業の実態はあまり知られていない。そこで本稿では、大手コンサルティングファームのマッキンゼー・アンド・カンパニー関西オフィスに所属し、日米で豊富な経験を持つ現役データサイエンティストの筆者が、ベールに包まれた業務の一端と、この仕事に就くまでの道のりを明らかにする。

第20回
新たなイノベーションを創出するためには、顧客体験と利益の仕組みをどのようにデザインしていくかという戦略が欠かせません。そして、それを実現する上で鍵となるのがデータ分析なのです。昨今取り組んでいる事例をもとに、日本企業のイノベーションのヒントを探ります。

第19回
「チャレンジ!!オープンガバナンス2016」は、地域住民と自治体が協働して地域の課題を解決するためのアイデアを競う、市民参加型のアイデアコンテストです。ここから、イノベーションを起こす力を持った「STEM人材」を育てていきたいと考えています。

第18回
「STEM教育」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。STEMとは、「Science」(科学)、「Technology」(技術)、「Engineering 」(工学)、「Mathematics」(数学)の頭文字を取った造語で、これらを統合的に学ぶ機会を子どもたちに提供することで、次世代を担う人材に育てようという教育方針です。

第17回
訪日客に知られざる日本を体感してもらうためには、思いつきや、ありきたりな先入観に頼るのではなく、データや事実に基づいたトライ・アンド・エラーが必要なのですが、どうやら日本企業の多くは失敗を恐れるあまり、臆病になっているように思えるのです。その理由と解決策を探ります。

第16回
訪日観光客は、これまで主流だった富裕層に加え、中間層や庶民層が来日するケースが増えていることもあり、以前と比較して旅行中に支出する金額は下落傾向にあります。彼らの変化に対応できるかが今後のインバウンドの拡大の鍵を握っています。その重要課題の1つが、Wi-Fi環境の整備です。

第15回
IoT時代に日本企業が対応するための最大の課題は、日本の企業自身が失敗への恐怖を抱えているからだと私は考えます。先人が努力して築いた栄光の眩さに目を奪われるあまり、失敗がもたらす価値を見失ってしまったように思えてなりません。

第14回
2014年12月から私は、アクセンチュア日本法人の所属ではなくなり、アクセンチュア米国シアトルオフィスに拠点を移しました。震災を機に日本に貢献するためアメリカから帰国した私が、なぜ再びアメリカに戻るのか。それはもちろん日本を見限ったからではありません。

第13回
アクセンチュアと慶應義塾大学SFC研究所が中心となって企画している『第2回データビジネス創造コンテスト』(アクセンチュアDIG」)は、デジタルネイティブ世代が地方のオープンデータやソーシャルを活用して地域創生を目指すアイデアを競い合うコンテスト。その概要を紹介。

第12回
前回に引き続き、わたしがいまもっとも力を入れているデータサイエンティストの育成についてお話してまいります。今回のテーマは「女性データサイエンティストの可能性」です。

第11回
2014年4月23日、産学共同イベントとして開催された「第1回データビジネス創造コンテスト」で審査員を務めました。高校生チーム5組と大学生・大学院生チーム7組の計12組が、ツイッターのデータを分析してビジネスアイデアを競うものです。その結果は意外なものでした。
