誠さんは唖然として数分立ちつくしたそうですが、残念ながら、彼女の怒号がおさまる気配がなく、誠さんは彼女の背後に近付くと、彼女の口を自分の手の平で押さえつけたのです。もはや力ずくでやめさせる以外に選択肢が残っていないほど誠さんは追い詰められていたのです。

「そんな声を張り上げたら、近所迷惑だろう!いい加減にしろ!!」

 誠さんは不本意ながら、彼女を上回るほどの音量で怒鳴り付け、あえて厳しい言葉を選んで彼女にぶつけたのですが、それは「彼女のためを思って」のこと。しかし、誠さんの気遣いや配慮、願いは彼女のところまでは届くことはなく、彼女は誠さんの足を思いっきり踏みつけ、さらに股間を蹴り上げたそうです。

 さすがの誠さんもここにきて、目の前で起こっていることが「まともではない」ことを今さらながら悟ったと言います。彼女は何を仕出かすか分からないようなパニック状態に陥っており、そのまま家を出ていこうとしました。

 股間を押さえて倒れ込んだ状態の誠さんは、何とか彼女の足を掴み「どこに行くつもりだ!」と言ったそうです。しかし、彼女は今度、爪を立てて、誠さんの腕や顔を引っかき始めたそうです。その結果、誠さんの額には線状の切り傷が無数につきました。さらに興奮した彼女はついに馬乗りになって、誠さんの頬に何発も往復ビンタを食らわしてきたのです。

 彼女の突然の変貌。

「これがあの彼女なのか……」

 誠さんは何度も首を左右に振りながら、ただただ呆然とするばかりでした。彼女はしばらくすると、ようやく怒りが冷め、少しだけ我に返ったのでしょうか。家に入り、自分のバッグだけを持ち、そして逃げるように、また家から出て行ったのです。

家出し消息不明の彼女を探すため彼女の実家に
対面した母親から聞いた意外な話

 同棲先のアパートに1人、取り残された誠さんは、彼女の居場所はもちろん、安否すら確認できず、自分の無力さに絶望する日々……。彼女を探すべく手を尽くしたのですが、見つからず仕舞い。誠さんが考え得る方法は、もはや一つしか残されていませんでした。それは彼女の実家です。

「正直、結婚もしていないのに、彼女の両親に行くなんて気まずいと思っていました。だから気が引けたんですが、でも、しょうがなかったんです」

>>後編『口喧嘩に包丁!? DV彼女と命懸けの同棲を続けた男の事情(下)』を読む