世界の自動車メーカーが熱視線、日本発新プラスチック素材の凄さ自動車の軽量化という流れの中で、三菱ケミカルの新素材が外装部材に採用された足跡は大きい 拡大画像表示

“プラスチックの皇太子”――。

 三菱ケミカルが独自に開発した新素材に、国内外の自動車メーカーから熱い視線が注がれている。素材を指名した問い合わせが相次いでいるのだ。

 実はこの通り名は、同社がキャッチフレーズとして勝手に付けたもので、「デュラビオ」というれっきとした本名がある。植物由来のバイオプラスチック素材で、エンジニアリング・プラスチックの一種だ。エンジニアリング・プラスチックとは、耐熱性などの機能を強化した化学製品のことで、一般的には家電製品の内部などに使われている。

 なぜ、皇太子なのか。

 高等学校の化学の教科書にも載っている“プラスチックの王様”であるポリカーボネート(強度・耐熱性・汎用性などで圧倒的に優れる)の良い部分と、“プラスチックの女王”のアクリル樹脂(見た目が美しく透明性が高い)の良い部分を引き継ぐ新素材だからだ。

 この新素材の特徴は、大きく4つある。(1)ガラスの代替に使えること、(2)塗装が必要ないこと、(3)黄色く変色しないこと、(4)トウモロコシ由来のバイオマス素材であることである。

 指名での問い合わせは、世界的な自動車メーカーだけでなく、中国の地場メーカーからも来る。

 きっかけは、昨年12月上旬に東京で開かれた「エコプロ2016」という環境展示会だった。自動車メーカーのマツダが、新型車種の「ロードスター RF」の外装部材に、三菱ケミカルと共同開発した新素材(デュラビオ)が使われたことを大々的に喧伝してくれたことにより、急に世界から注目されるようになったのである。