山あいに広がる田園風景写真はイメージです Photo:PIXTA

人口減少は本当に「悪」なのだろうか。多くの自治体が移住促進や子育て支援による人口増加を目指すなか、岡山県美咲町は「人口が減ることは避けられない」という現実から出発した。その上で、公共施設の統廃合や地域の仕組みの見直しを進め、住民が暮らしやすい町を目指してきた。人口が減っても地域は豊かであり続けられるのか。経済学者の小峰隆夫氏が、そのヒントを探る。※本稿は、経済学者の小峰隆夫『地域と人口減少の経済学 スマート・シュリンクという選択肢』(中央公論新社)の一部を抜粋・編集したものです。

人口減少社会でも
豊かに暮らすことはできる

 スマート・シュリンク(編集部注/人口が減っても、地域で暮らす人々のウェルビーイングが損なわれないことを目指す考え方)を目指すことは、地域だけではなく日本全体の進むべき道である。それは既に各方面で進められている。

 政府が力を入れている成長戦略は、人口が減っても生産性を引き上げて、経済成長を維持しようとするものだ。人口減少下ではどうしても労働力が足りなくなる。これに対して、企業は女性や高齢者の力をこれまで以上に生かそうとしたり、省力化技術を導入したり、外国人の人材を取り込もうとしたりしている。予算編成期になると、毎年のように年金・医療・介護などの社会保障制度の改革が問題になるが、これも、人口減少下で、社会保障の担い手である勤労者層が相対的に減ってくるという事態にどう対応するかという問題である。

 人口減少下でも、経済社会の姿を良くしていこうというスマート・シュリンクの動きは、既に各方面で進められているのである。

 こうした中で、地域政策についてもスマート・シュリンクの考え方を進めていくことが求められている。人口減少は各地域で一律に進行するわけではなく、地方部では特に急速に進行中である。こうした地域こそが、スマート・シュリンクを最も必要としていると言えそうだ。