“眠りが浅くなる季節”といえば夏の熱帯夜をイメージしがちだが、じつは寒さが厳しい真冬も、熟睡を妨げてしまう要素であふれているという。冬と睡眠の関係や、快眠法について上級睡眠改善インストラクターの安達直美氏に詳しく聞いた。(清談社 真島加代)

夏だけではなかった!
冬も眠りの質が低下する理由

冬の「睡眠負債」を侮るな!着込み過ぎや温め過ぎは逆効果寒いからといって、靴下をはいて寝たり、重ね着をして眠りがちだが、実はこれらの行為は良い眠りを妨げる。冬の快眠のコツとは?

 日中のパフォーマンス向上や、疲労回復に欠かせない「睡眠」。熱帯夜が続く夏は睡眠への関心が高まる季節だが、実は、寒さが厳しい冬も睡眠の質が下がりやすい時期だという。

「夏の熱帯夜ほどではありませんが、冬は日中の活動量が減ること、気温の低さ、日照時間の短さの3つの環境要因によって、眠りの質が下がりやすくなります。一般的に冬は睡眠時間が長くなる傾向がありますが、低下した睡眠の質を時間で補っている、とも考えられているのです」

 こう話すのは、『美人をつくる「眠り」のレッスン』著者で上級睡眠改善インストラクターの安達直美さん。

「1つめは『活動量の減少』。眠りに就く前の3時間以内に過度な運動をすると睡眠の妨げになりますが、適度な運動による疲れは深い眠りに必要です。寒さを理由に体をあまり動かさないと、眠りの質が低下する可能性が高いのです」

 寒さにかまけて運動しないのは考えもの。デスクワークの人ならば、帰宅時にひと駅分歩く程度の軽い運動を心がける必要がありそうだ。

 そして2つ目の理由、「気温の低さ」は、寝つきを悪くする原因になるという。

「人の脳と体は深部の温度を下げることで、眠りに就き休息モードに入ります。その際、手のひらや足の裏の血管を通して熱を外に出す“放熱”をおこなうのですが、冷えによって皮膚の温度が下がると足裏などの末端の血行が悪くなり、放熱がうまくいかなくなります。すると、体の深部体温を下げることができず、寝つきの悪さや眠りの浅さにつながってしまうのです」

 じつは、真夏の熱帯夜も外気温が高すぎるゆえに深部体温が下がらず、眠りにくさを招いている。夏の寝苦しさと冬の眠りが浅い原因は同じなのだ。

 そして3つめの理由である「日照時間の短さ」は朝の目覚めに影響している。起床時間に太陽の光を浴びることができればスムーズに目覚めることができるが、日の出が遅い冬の朝は光の刺激を受けにくくなる。

「冬の場合は、日の出が遅いので起床時間に十分な太陽の光を浴びられない人もいると思います。起きたときに光刺激が不足すると、睡眠の維持を助けるメラトニンの分泌が抑制されず、寝覚めが悪くなってしまうのです」

 質のよい睡眠がとれた朝は、眠気を感じずスッキリと目覚められる。スムーズな入眠から心地よい深い眠り、さわやかに目覚めるまでが“快眠の条件”だ。