国交省が発表した2018年度の混雑率調査によると、東京圏は全体としてはほぼ横ばい。数十年前と比較すると、電車の混雑は確実に改善している。しかし、今なお混雑率が年々悪化している鉄道路線も存在する。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)

首都圏で今なお混雑率が
上昇し続ける路線は?

つくばエクスプレス今なお年々、混雑率が悪化しているレア路線「つくばエクスプレス」  Photo:PIXTA

 国土交通省は7月18日、2018年度の都市鉄道の混雑率調査結果を発表した。三大都市圏主要区間の平均混雑率は、東京圏が163%、大阪圏が126%、名古屋圏が132%で、昨年度と比較してほぼ横ばいの結果となった。(混雑率の読み方は「電車で『混雑率の公表数値以上に』激混みが頻発する理由」 参照)

 国交省は東京圏主要路線の平均混雑率を150%以下、個別路線の混雑率を180%以下にすることを目標としている。平均混雑率は20年前の183%、10年前の171%からは着実に減少しているが、個別路線では東京メトロ東西線やJR横須賀線、東急田園都市線など11路線が180%以上の混雑を記録している。

 中でも、年々混雑が激化している数少ない路線のひとつが、秋葉原とつくば学園都市を結ぶ「つくばエクスプレス」だ。都市再生機構と沿線自治体が新線建設と一体的に沿線開発を進めたことで、2005年の開業以降、利用者が順調に増加。開業から10年で混雑率は109%から156%まで増加し、以降2016年度は162%、2017年度は165%、2018年度は169%と増加の一途をたどっている。

 利用者の増加に対応すべく、朝ラッシュ時間帯のピーク1時間の運行本数は、2005年開業時の16本から、2008年に20本、2012年に22本まで増強されてきた。さらに設備改良、車両増備が完了する2020年春には25本化が実現し、混雑率は155%まで緩和される見込みだ。

 ここまでは、昨年の記事(「つくばエクスプレスと舎人ライナーで通勤客増加が悩みになる理由」)でも紹介した通りだが、今年5月に大きな動きがあった。つくばエクスプレスを運営する首都圏新都市鉄道が、抜本的な混雑緩和策として「8両編成化事業」に着手すると発表したのである。

 最新の人口予測では、つくばエクスプレスの沿線人口は2030年代まで増加が続く見込みで、2020年春の増発でいったん低減する混雑率も、将来的には再び悪化が予想されている。しかしながら、複線の鉄道の限界に近い1時間あたり25本の運転本数をさらに増発するのは困難であり、国交省が目標に定める混雑率150%以下を達成するためには、電車の本数ではなく1本あたりの定員を増やすしかない。そのため現在の6両編成を8両編成に増強して、1編成あたりの輸送力を約30%増加しようという計画だ。