電通vs博報堂。ヤマト運輸vs佐川急便。アップルvsアマゾンetc.
有名企業の決算書を徹底分析! 「儲かっている」のはどっちだ?
本連載は、誰もが知っている有名企業の決算書を対比させることで、「仕事に効く会計知識」と「経営分析の基本」を一気に学ぶものだ。著者は、「監査法人」「証券会社」「ベンチャー企業」「会計コンサル」、4つの立場で「会計」に携わった経験を持つ川口宏之氏。発売4日で重版が決まった『経営や会計のことはよくわかりませんが、儲かっている会社を教えてください!』の著者でもある。

メルカリはなぜ、営業赤字でも「宣伝」にお金をかけるのか?Photo: Adobe Stock

メルカリとSansan、儲かっているのはどっち?

 本日は、注目度の高いベンチャー企業2社を比較します。フリーマーケットアプリのメルカリと、名刺管理サービスのSansanです。

【参考記事】
●メルカリの強さは「キャッシュの貯まりやすさ」にあり!
●キャッシュがどんどん貯まるビジネス、2つの仕組み

 どちらの会社もテレビCMなど、積極的なプロモーション活動を行っており、新興企業の中でも目立つ存在です。では、果たしてどのくらいプロモーションにコストをかけているのか。それに見合うだけの業績は出ているのか。そのような観点で、「売上高広告宣伝費比率」を軸に両社を比較分析します。下図(決算書)を見てください。

メルカリはなぜ、営業赤字でも「宣伝」にお金をかけるのか?

【売上高広告宣伝費比率】
メルカリ 37.4%
Sansan 27.7%

※売上高広告宣伝費比率(%) = 広告宣伝費 ÷ 売上高 ×100

 比較してみると、売上高広告宣伝費比率は、メルカリのほうが高いようです。しかし、一般的には10%未満程度の会社が多いことから、2社とも積極的に広告宣伝に資金を投じていることがわかります。

 メルカリは、「メルペイ」というキャッシュレス決済事業に乗り出したこともあり、他のキャッシュレス事業者とのユーザー囲い込み競争で、積極的なプロモーション活動を行っています。

 一方、Sansanも松重豊さんによる「早く言ってよ〜」の決めゼリフが印象的なテレビCMを中心に、大々的なプロモーション活動を行っています。

 これだけお金をかけて広告宣伝しているのであれば、業績もさぞかし好調なのかと思いきや、実は両社とも大幅な赤字なのです。