電通vs博報堂。ヤマト運輸vs佐川急便。アップルvsアマゾンetc.
有名企業の決算書を徹底分析! 「儲かっている」のはどっちだ?
本連載は、誰もが知っている有名企業の決算書を対比させることで、「仕事に効く会計知識」と「経営分析の基本」を一気に学ぶものだ。著者は、「監査法人」「証券会社」「ベンチャー企業」「会計コンサル」、4つの立場で「会計」に携わった経験を持つ川口宏之氏。発売4日で重版が決まった『経営や会計のことはよくわかりませんが、儲かっている会社を教えてください!』の著者でもある。

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キャッシュが貯まりやすいビジネスモデルとは?

 本日は名刺管理サービスの「Sansan」の強みを分析します。Sansanもメルカリほどではありませんが、キャッシュが貯まりやすいビジネスモデルになっています。

参考記事:メルカリの強さは「キャッシュの貯まりやすさ」にあり!

 Sansanの2019年5月期の貸借対照表を見てみると、39.2億円もの「前受金」が計上されています。実に、負債合計の約7割にも上る金額です。

 Sansanの決算説明会資料によれば、Sansanの企業向けのサービスは、契約開始時に初期費用としてライセンス費用の12ヵ月分を徴収するしくみになっています。これとあわせて、導入支援費用として20万〜150万円を契約開始時に徴収します。

 恐らくこれらが、貸借対照表に計上されている前受金だと考えられます。

 キャッシュ・フロー経営の王道は、売上代金を早く回収することです。多くの企業間ビジネスは、販売から1〜2ヵ月後に代金を回収する後払いですが、Sansanはこれとは逆で、先に顧客からお金を受けとるしくみになっています。そのため、契約件数が増えれば増えるほどキャッシュが先行して貯まっていくのです。

 さらにいえば、Sansanは、「サブスクリプションモデル」かつ「スイッチングコストが高い」サービスです。

「サブスクリプションモデル」とは、売り切りではなく毎月の利用料を継続的に課金する方式のことです。音楽聞き放題サービスのSpotifyや動画見放題サービスのNetflixなどもサブスクリプションモデルです。アドビが画像編集ソフト「Photoshop」を、売り切り型からサブスクリプション型に移行したことで、業績が飛躍的に向上した事例が有名です。

 サブスクリプションモデルのメリットは、解約されない限り、安定的に収益が積み上がる点にあります。Sansanも、名刺の枚数に応じて月額でライセンス費用を徴収するサブスクリプションモデルです。