マンチェスター・ユナイテッド(以下・マンU)に移籍した香川真司が好スタートを切った。

 プレミアリーグ開幕から3戦連続で先発出場。第2戦のフラム戦では初ゴールも決めた。ゴール前のこぼれ球をつめただけの簡単なプレーに見えたが、この場所にいること自体がすごいし、ゴールをプレゼントしてくれるかのように目の前にボールが転がってきたことも「持っている」選手である証だ。また、このゴール以外でも巧みなパスで幾度となく決定機を演出。目の肥えたマンUサポーターの心を早くもつかみつつある。

 マンUといえば、サッカー発祥国の英国でも頂点に君臨する名門クラブ。人気は世界に拡がっており、約6億6000万人ものファンを持つといわれている。日本サッカーのレベルが上がり、ヨーロッパに渡る選手は増えたが、こんな超ビッグクラブに日本人選手が加入し堂々とプレーしているシーンが見られるのは、ほんの数年前まで考えられなかったことだ。香川は夢を現実のものにしてくれたのである。

 振り返ってみれば日本サッカー界は夢を次々と実現させてきた。20年前の93年にJリーグがスタートした時の夢は「W杯に出場すること」。それは5年後の98年フランス大会で実現した。が、この時はグループリーグで3戦全敗。次の夢は「W杯での勝利とグループリーグ突破」になった。これも2002年日韓大会で実現。そして日本代表は2010年南アフリカ大会まで4回連続出場。ベスト16に2度なった。今では「W杯には出場して当たり前」になり、本大会でのベスト16以上が具体的な目標になっている。

日本人には夢のまた夢だった
F1レギュラードライバーの座

 サッカー以外でも日本のスポーツが夢を実現させた例はいくつかある。古くはF1の日本人レギュラードライバーがそうだった。F1に初めて参戦した日本人ドライバーは1975年の鮒子田寛。その翌年には星野一義、長谷見昌弘、翌々年には高橋国光が参戦しているが、いずれも1レースのみ出場が認められたスポット参戦だった。