1カ月前には、政策面で原油や金など国際商品(コモディティ)の市況を押し上げる材料が相次いだ。中国政府による公共投資計画の承認、ECB(欧州中央銀行)による南欧国債の買い取り表明、FRB(米連邦準備制度理事会)によるQE3(量的緩和第3弾)の発表と、市場参加者の平均的な想定よりも積極的な政策対応が行われた。しかし、これらが市況を押し上げる力は長続きせず、9月後半以降、国際商品市況は総じて頭打ちだ。

 つまり、以上の政策によって、必ずしも景気が押し上げられたり、国際商品の需要が増えたりするわけではないと市場は見ている。

 中国政府は、景気下振れに対する保険や中長期的に必要なインフラの整備として公共投資を行うにしても、金属需要を押し上げて金属メーカーの余剰設備を稼働させようとまでは考えていないはずだ。ECBの国債買い取りによって、当面、財政不安が金融システムを混乱させるリスクは遠のいたといっても、究極的に欧州各国の財政問題が解決したわけではない。そして、QE3の内容は、想定されたよりも大胆なものであったが、そもそも追加的な金融緩和によって景気や雇用を押し上げる効果には懐疑論が多い。

 もっとも、景気要因だけが国際商品市況を動かすわけではない。むしろ、今年は、それ以外の要因が目立つ展開になっている。

 穀物市況は、北米の干ばつを懸念した高騰が一服しており、足元ではバイオ燃料向け需要の減少や中国向け輸出の鈍化観測が下押し要因になっている。