原油相場の力学に変化、背後に印・イランの存在Photo:VCG/gettyimages

 原油相場のトレンドに変化の兆しが出ている。イラン産原油の供給がちょうど拡大しているタイミングで、アジアの需要が後退する一方、欧米の需要が持ち直しているためだ。

 新型コロナウイルス禍の影響で急落していた原油価格を中国やインドの経済回復が一気に押し上げた昨年から状況が一転している。足元では中国の輸入ペースが鈍る一方、世界第3位の石油消費国インドでは、コロナ感染者が再び急増しており、需要が今後大きく落ち込みかねない。

 半面、ワクチン接種が進み、経済活動が正常化に向かう米国と欧州の需要は、回復が見込まれている。

 同時に、硫黄分の多い中東産原油の供給はここにきて拡大基調にある。石油輸出国機構(OPEC)は世界需要の回復に伴い、産油量の引き上げで合意しているほか、イラン産原油も昨秋以降、急増している。アジアの精製業者は中東産原油の大口買い手だ。