教養としての地理社会の変化とともに「地図」も変わっています Photo:PIXTA

世の中の変化とともに、子どもの頃に学んだ「地図の常識」が大きく変わっている。風車や老人ホームといった新たな地図記号が登場する一方、電話局や桑畑の地図記号は消えた。社会の変化を移す鏡ともいえる地図。その興味深い変化を見てみよう。
※本稿は、山岡信幸著『激変する世界の変化を読み解く 教養としての地理』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

POINT
★地図記号は産業・社会の変化を反映して、廃止・追加されている
★地図の世界は、紙の上からコンピュータやネット上にお引っ越し
★登山好きにお馴染みの「三角点」が、その役割を終えようとしている

新たな地図記号と廃止された地図記号
見えてくる「社会の変化」とは?

 中高生の頃、地理の授業に地図帳を忘れて、隣のクラスに借りに行ったことのある人はいませんか? 私の講義では、つねに地図帳を開いて受講するようにお願いしています。地理を学ぶうえで地図は不可欠のツールです。ところで、地図帳もそうですが、日本で用いられる地図の多くは、国土交通省に属する国土地理院という機関が作った地図(地形図・地勢図・国土基本図など)を基にしています。この地図の世界も近年大きく変化しています。「地図の変化」というと、よく話題になるのが地図記号の変化です。地図記号もまた、社会の変化を表しています。

「風車」は風力発電をはじめとした再生可能エネルギー(自然エネルギー)の普及、「老人ホーム」は人口の高齢化、「自然災害伝承碑」は地球温暖化などによる災害の増加を背景にしています。