「植物工場」が普及しない本当の理由とは写真はイメージです Photo:PIXTA

現在、幾つものベンチャー企業が参入している植物工場。効率よく野菜を生産できると注目されている一方、多くは赤字で採算が取れていない状況だという。そんな植物工場の存在意義や今後の展望を東京農業大学教授の小塩海平氏に聞いた。(清談社 沼澤典史)

政府が多額の予算で
植物工場の建設を後押し

 畑を耕し、太陽の下で育てる本来の農業の手法とは異なり、土を使わず室内で育てる手法が、いわゆる植物工場だ。このなかには太陽光を用いてハウスなどの温室で育てる太陽光利用型と、LEDを当てて育てる人工光利用型のふたつがある。ただ、一般的に植物工場と言われて思い浮かべるのは、後者の方だろう。

「日本では太陽光利用型と人工光利用型の二つをともに植物工場と呼びます。しかし、太陽光利用型の水耕栽培施設と人工光利用型の完全閉鎖施設は特徴や出自も違うので、別のものと考えるべきだと思います。より植物工場と呼ぶにふさわしいのは人工光利用型の施設でしょう。植物工場について先進的といわれるオランダでは太陽光利用型が主流ですが、現地では植物工場とは呼ばれていません」