世界中に衝撃を与えたマイケル・ジャクソンの死から1ヶ月。CDが爆発的売上高を記録するなど、いまだ追悼熱は冷めない。その「キング・オブ・ポップ」は、莫大な財産を遺した。親族と税当局が入り乱れる争奪戦が始まる。遺言などの情報を基に、マイケルの相続対策を検証する。

もう半年遅ければ遺産税はゼロ?<br />マイケル・ジャクソン「死と税金」
複雑な家庭環境にあったマイケル・ジャクソン。遺産をめぐる騒ぎは続きそうだ。Photo (c) AP Images

 何人も「死と税金」(Death and Taxes)から逃れることはできない。50歳の若さで急死したキング・オブ・ポップ、マイケル・ジャクソンも、その例外ではない。

 マイケルは生前、7億5000万枚ものCDやDVDの売り上げを記録した。一方、父親との確執や離婚した妻の存在など、マイケルは複雑な家庭環境にあった。遺産の行方に、注目が集まるゆえんである。

 米国では、遺言やトラスト(信託)、保険などを用いて、遺産をスムーズに相続人に移したり、節税対策を行なったりすることを、「エステートプランニング」と呼ぶ。マイケルのそれは、どのようなものだったのだろうか。

 相続でまず争点となるのは、「遺産の内容(金額)」「相続人は誰か」だ。それを解き明かすうえで、最も重要な要素は「遺言」である。

 マイケルの遺言は、裁判所を通じて全文が公開されている(概要は図を参照)。米国では、一般人でも10ページを超える遺言は珍しくないが、マイケルのそれは全8条・5ページで非常にシンプルなものである。

 前妻デボラ・ロウを相続人からはずしたことや、子どもたちの後見人としてマイケルの母キャサリン・ジャクソンが行動できない場合には、ダイアナ・ロスを指名するとしたことは、すでにメディアで注目を集めた。