現代の経営
ダイヤモンド社刊
1890円(税込)

 「戦略的な意思決定では、範囲、複雑さ、重要さがどうであっても、初めから答えを得ようとしてはならない。重要なことは、正しい答えを見つけることではない。正しい問いを見つけることである」(『現代の経営』)

 教科書は事実を収集せよという。だが問題を定義し分類しないことには、それは不可能である。

 問題の定義と分類によって、関係のあるデータ、すなわち事実が何であるかを知る。おもしろいが関係のないデータから解放される。情報のうち何が有効かを知る。

 重要な意思決定、すなわち大きな意味を持つ意思決定は、戦略的な意思決定である。戦略的な意思決定を行なうには、状況を把握することが必要である。

 ドラッカーは、仕事であれなんであれ、ただちに意思決定を行なえる問題などほとんどないという。

 一見して重要な要因が本当に重要であったり、そもそも関係があったりすることが稀である。それらのものは、せいぜい兆候にすぎない。しかも、最も目立つ兆候が問題の鍵であることは稀である。

 意思決定において最初の仕事は、問題を見つけ、それを明らかにすることである。この段階ではいくら時間をかけてもかけ過ぎることはない。

「意思決定についての議論のかなりの部分が、問題の解決すなわち答えを出すことに集中している。間違った焦点の合わせ方である。問題の解決だけを重視してよい意思決定は、さして重要でない日常の戦術的な意思決定だけである」(『現代の経営』)