
真壁昭夫
第351回
10月末、日銀の黒田総裁は思い切った追加金融緩和策(バズーカ砲第二弾)を唐突に発表した。人々を驚かせる黒田総裁のセンスは抜群だが、果たして金融緩和策にこれ以上の景気回復を望めるのか。その実効性をそろそろ真剣に議論しよう。

第350回
米国のFRBは、今月で超金融緩和策を打ち止めにすることを決定した。リーマンショック発生後、景気の下支えとして実施されてきた緩和策の終焉により、今後世界経済はどう動くのか。注視されているのが“金余り相場”へのインパクトだ。

第349回
最近、投資家や経済専門家と話していると、彼らのアベノミクスに対する関心が低下していることがわかる。株価の不安定化や相次ぐ閣僚の辞任などの影響もあるだろうが、最近安倍首相の“空手形”が増えて来たと感じるのは、筆者だけだろうか。

第348回
「IoT」(モノのインターネット)という言葉が、にわかに注目を浴び始めた。そもそもこの「IoT」とは、どんなイノベーションなのか。これまで“モノづくり重視型”のカルチャーが強かった日本企業は、新しい価値観への大転換を迫られそうだ。

第347回
今年のノーベル物理学賞を日本人研究者3人が獲得したことは、画期的なニュースだった。しかし、その快挙に酔ってばかりでいいのか。「技術で勝ってもビジネスで負けている」と言われる日本の研究開発力について、いま一度問題提起すべきだろう。

第346回
総合商社のドル箱だった資源ビジネスが、変調をきたしている。足もとでは住友商事が、シェールオイルを中心とする新型原油開発の失敗などで巨額の損失を計上した。背景には様々な環境変化も見える。資源ビジネスは、これからも本当においしいのか。

第345回
スコットランドの独立を決める住民投票は、同国の英国残留という結果に終わった。振り返ってみると、彼らの独立への見通しにはいくぶん荒唐無稽な部分があったし、今回の独立騒動がグローバリズムの進む世界へ投げかけた波紋は小さくない。

第344回
先頃ソニーは、今期決算において最終赤字額が2300億円に拡大する見通しを発表。スマホなどのモバイル端末事業を大リストラする。なぜ、ソニーの1人負けは続くのか。コアコンピタンスを失ったソニーが「ソニーでなくなる日」を考える。

第343回
錦織圭選手の全米オープンでの活躍は、日本のみならず欧米諸国でも注目を浴びている。才能があっても壁を乗り越えられない若者が多いなか、錦織選手はなぜここまで頑張れたのか。人生一度のチャンスを生かせる指導者との付き合い方を探る。

第342回
米国の金利上昇見通しに伴い、足もとの為替市場では円安・ドル高が加速している。アベノミクス以降の円安で、日本の輸出企業は復活したと言われるが、それだけで日本経済は底堅いものになっているのか。円安の中長期リスクを改めて検証する。

第341回
足もとでわが国の長期金利は、0.5%を下回る水準まで低下している。これだけ金利が低くなると、むしろお金の流れは阻害され、各国が政策を総動員しても景気はなかなか回復しない。こうした状況には、資本主義そのものの限界も垣間見える。

第340回
政務費の不透明な支出を追及されて号泣した野々村竜太郎・元兵庫県議に続き、山本景・大阪府議がLINEで中学生とトラブルを起こして問題となっている。政治信念なき彼らの言動は言語道断だ。地方議員たちが自覚すべき役割期待とは。

第339回
7月下旬に明るみに出た中国の期限切れ食肉問題で、日本企業は大きなダメージを受けた。中国は日本にとって依然として重要な市場だが、先行きには不安要因も多い。経営者は、そろそろ中国ビジネスのリターンとリスクを冷静に見極めるべきだ。

第338回
人類史上初の総力戦となった第一次世界大戦の開戦から、この7月で100年の時が経つ。足もとの世界情勢を見ると、当時の世相に通じるリスクも見られる。世界的なナショナリズムの台頭や多極化によって、今後世界はどこへ向かって行くのか。

第337回
マレーシアの旅客機がウクライナ上空で撃墜されてから、数週間が過ぎた。親ロシア派の仕業と見られた事件は、ロシアの立場を危うくし、国際情勢に予想以上の影響をもたらしそうだ。日本もこの動きを睨み“ナイスガイ”から脱皮すべきだろう。

第336回
高級音響機器メーカーとして一世を風靡した山水電気が、ついに破綻した。全盛期の同社を知る人たちにとっては、寂寥感を感じる向きも多いだろう。かつての競合たちのように、どうして山水は生き残れなかったのか。筆者なりに分析したい。

第335回
7月、ソニーがPC事業を売却したVAIO株式会社が発足した。かつてPC部門の巨人だったIBMも、すでにブランドを中国のレノボに売却しているが、一定のブランド力を保っている。果たしてVAIOは復活できるか。「壮大な実験」の吉凶を占う。

第334回
これまで国際秩序の番人の役割を果たしてきた米国のプレゼンス低下により、世界には「Gゼロ時代」が訪れつつある。なかでもアジア地域では、こうした状況を睨んだ中国の覇権主義が台頭している。日本はこれから、どんな外交を考えるべきか。

第333回
貿易赤字がこれほど拡大して、日本は大丈夫なのか? 最近筆者は、こう尋ねられることが多い。貿易赤字は確かに大きな不安要因だ。ただし、数字だけを見て目くじらを立てる必要はない。重要なのは、経常赤字を回避するための試行錯誤だ。

第332回
これから戦後の預金封鎖や新円切替のようなことが、起こるのだろうか――。筆者の経済講演では、参加者からこんな質問を受けることが増えた。すでに国民の中にも、それほど財政悪化懸念が浸透しているということか。その現実味を分析する。
