
真壁昭夫
第391回
金融市場のリスクオフは今しばらく続くが、早ければ1、2週間で混乱は収まるだろう。だがそれは“嵐の前の静けさ”と見るべきだ。中国、米国の状況から、中長期的には今回以上の混乱があり得る。

第390回
中国が突然行った人民元の切り下げは、進まない構造改革と鮮明化する景気減速で、背に腹は代えられず同国政府が輸出振興を図ったものと見るべきだ。問題はこれが世界経済、特に米国経済に与える影響である。

第389回
キヤノンをはじめとする製造業で、生産自動化の動きが加速している。少子高齢化が進むわが国にとってこれは重要である。まだ気掛かりな点もあるが、長らく“縮み志向”にあった企業にイノベーションの胎動が見え始めた。

第388回
大塚家具の“親子喧嘩”は法廷闘争にもつれ込み、長期戦の様相を呈している。一方で、同社の業績は「お詫びセール」の好調などにより急回復した。そこには、企業の危機管理として参考にすべきポイントがある。

第387回
中国経済の減速が鮮明化するのに伴い、同国でビジネスを展開する際のリスクが高まっている。一方で、中国に消費市場として大きなビジネスチャンスがあることも間違いない。企業はどう考えるべきか。

第386回
東芝の不適切会計はその規模が拡大し、経営陣が関与していた可能性が高くなった。同社が組織ぐるみの不正に走ってしまった背景は何か。このような不祥事は過去にも国内外で数多く起きてきたが、どうすれば発生を防げるのか。

第385回
中国株バブル崩壊で目立ったのは、同国の株式市場の未成熟と、政府の狼狽ぶりである。世界第2位の経済大国の市場と監督当局がそうした状況にあるのはリスク要因だ。さらに、共産党政権が盤石ではないことも浮き彫りになった。

第384回
ギリシャに関する事態がここまで悪化した本当の理由を考えてみたい。問題の背景にあるのは、チプラス首相とユーロ圏諸国の双方にある読み違い、ギリシャの国民性、そして、ユーロ経済圏という実験が抱える重大な欠陥である。

第383回
ドル高円安は、わが国の大手企業の業績をかさ上げし、株価を押し上げてきた。だが為替レートは米国の経済状況や政策に大きく左右される。今後は急速な円安には進みにくい。円高への揺り戻しや、株価の伸び悩みあるいは下落も予測される。

第382回
“難しい隣人”である中国と韓国の、対日姿勢に変化が見られる。背景には両国の経済などの国内問題が深刻化していることがある。わが国にとっては独自の主張を国際社会に向けて行うチャンスだ。国益を優先した、したたかな対応が求められる。

第381回
アップルの新事業攻勢は、グーグルとの競争への対応策、そして将来の収益原確保のための戦略と見られる。現在は革新性と高収益を誇るアップルも将来は盤石ではない。今後、ITによる環境急変に迅速に対応できないと、企業の存続は難しくなる。

第380回
LIXILがグループ企業である中国・ジョウユウの破産で多額の損失を被った。ジョウユウの不正経理を見抜けなかったLIXIL経営陣の責任はあるが、このケースは企業経営者にとって対岸の火事ではない。M&Aに伴うリスクをどう考えるべきか。

第379回
円安急進の背景には、ヘッジファンドのキャリートレードがある。円安は企業利益をかさ上げし、連動して株価も上昇する。だがわが国の経済にとってプラス面ばかりではないことを、十分頭に入れておくべきだ。

第378回
大手電機メーカーの“勝ち組”と言われる東芝で起きた今回の件は、金融市場から大きな驚きとして受け止められている。特に問題なのは、これが同社のガバナンス機能の不全を示していることだ。その結果として信頼を失うマイナスは大きい。

第377回
中国の株価が急上昇している。同国の実体経済は急減速しており、金融緩和政策による期待先行でバブルの様相が強い。いずれ調整は不可避だが、問題はその影響だ。タイミングによっては世界の金融市場、実体経済が大混乱に陥る可能性がある。

第376回
サムスンは、カリスマ経営者の後継者問題と成長鈍化に直面している。これは同社の問題にとどまらず、韓国経済そのものに大きな打撃を与える。他にも韓国の経済・社会が抱える問題は多い。その行方に、日本も無関係ではいられない。

第375回
GEとソニーの経営戦略は好対照を成している。GEは脱金融・製造業回帰へ舵を切るが、ソニーは金融や不動産など本業以外への依存度を高め、新規事業にも積極参入の方針だ。果たしてどちらが正解なのか。

第374回
金融市場関係者の間で、ギリシャのデフォルトへの懸念が強まっている。このままでは同国の資金は5月にも枯渇する。デフォルトが現実化すれば、金融市場、さらにわが国を含む世界の実体経済への影響は必至だ。

第373回
足元の株高には、円安による企業業績の回復、異次元金融緩和策による“金余り”、GPIFや日銀などによる下支えがあり、当面は底堅い展開となりそうだ。しかし“金融相場”“官製相場”は意外と脆い。

第372回
2014年の国際特許出願件数で、中国のファーウェイが世界1位、国別でも同国が3位となった。その伸びは驚異的であり、過小評価できない。対して2位のわが国は前年比マイナス3%で、後退傾向が否めない。
