最終赤字のさらなる拡大予想を発表
「1人負け」のソニーはどこへ行く?
9月17日、ソニーの平井一夫社長は、2015年3月期の連結決算において、最終赤字額が当初予想の500億円から2300億円に拡大し、1958年の東証上場以来、中間・期末とも初の無配に転落することを発表した。
その背景には、同社がエレキ部門の柱の1つとして注力してきたスマートフォン事業での苦戦がある。アップルなどの有力メーカーに押され、同部門の業績が伸びず、同部門の設備などに関して1800億円の減損損失計上を余儀なくされる。その分が、低迷する同社の収益を一段と悪化させることになった。
スマホ事業の苦戦については、以前から専門家が予想していたとはいうものの、業績の下方修正が続いている同社に対する市場の見方は厳しい。今回の下方修正でソニーの株価は急落しており、市場関係者の間では「投資家から見放されるのでは」との懸念が高まっている。
リーマンショック以降、わが国の主要電機メーカー各社は、一時期円高の進展などもあり、業績が悪化した時期があった。その後、各社は独自の強みを生かし、一部事業の切り離しなどを行って、業績の建て直しに努めてきた。
その努力もあって、2015年3月期には大手メーカー6社のうち、ソニーを除く5社は黒字決算の見通しが立っている。ソニーの“1人負け”の状況だ。
今回、ソニーは大幅な赤字決算に加えて、スマホなどのモバイル端末事業に携わる人員の約15%に当たる1000人のリストラを行う。今回の経営陣の判断については「それなりに評価すべき」との見方もあるが、今後の同社の事業立て直しについては、不透明要因も多い。
かつての「ソニー神話」が崩れ去った今、同社の進む道が一段と厳しさを増すことは間違いない。