真壁昭夫
第299回
地デジへの移行後、薄型テレビの苦戦が続いていたが、ここへ来て先行きに光明が見え始めたようだ。8月の薄型テレビの販売金額が、2年1ヵ月ぶりに前年同月を上回った。牽引役となった「4Kテレビ」は、家電市場の救世主となるだろうか。

第298回
すでのところで回避された米国のデフォルト騒動、オバマ大統領のAPEC欠席など、ここに来て世界における米国の指導力低下が著しい。米国の存在感の低下と中国・韓国の台頭によって、今後アジア情勢に大きな変化が起きる可能性は高い。

第297回
オバマ大統領がバーナンキFRB議長の後任として、現副議長のジャネット・イエレン氏を指名した。指導力が低下したオバマ大統領を支え、金融緩和策の出口を模索しなければならない彼女の責任は想像以上に重い。その手腕やいかに。

第296回
今や日本は、代名詞とも言うべき「決められない政治」から脱却し、それは代わりに米国へ伝染した観がある。来年4月からの消費税率引き上げを決定した安倍首相の決断力は、評価されてもいい。しかし、行く手には課題も山積している。

第295回
大盛況のうちに終了したドラマ『半沢直樹』。放送終了後も、半沢ブームは終わることを知らない。しかし欧米人は、作品中の半沢の生き方に首を傾げる。理不尽な銀行を辞めない彼の生き方は、日本人の労働観を色濃く反映しているように思える。

第294回
9月上旬、新型iPhoneが発表されると同時に株価急落が起きたアップル。市場はすでに彼らを「王者」ではなく「普通の企業」と見なしているのか。こうした憂慮は、サムスンをはじめとするIT業界の主要プレーヤーにも当てはまりそうだ。

第293回
2020年の夏季オリンピックの開催地が東京に決まった。熱心な誘致活動もさることながら、安倍首相の強運ぶりも誘致成功の原動力になったように思える。だが、オリンピックの誘致だけで日本経済の復活が盤石になるほど、甘いものではない。

第292回
悪夢のリーマンショックからちょうど5年が経つ。世界経済が奈落の底に沈むことは回避されたが、その後遺症は今なお続く。世界経済を支えた「超金融緩和」が終わろうとする今、各国は独自に回復への道のりを歩めるようになるのだろうか。

第291回
先日、収賄・横領などの罪で起訴されていた薄熙来・元共産党幹部の裁判の様子が公開された。傍観者の日本人にはとても興味深いショーだが、習新政権が進めるこれらの「反腐敗運動」という政治ショーからは、揺れる中国の実態が見えて来る。

第290回
8月中旬に発表された貿易統計速報によると、7月の日本の貿易収支は13ヵ月連続で赤字となった。日本経済の構造変化に加え、昨今の円安がそれを加速させている。貿易赤字が拡大し、経常収支の黒字幅が減少すると、日本人の生活はどうなるのか。

第289回
今年も8月15日の終戦記念日に、「一部の閣僚が靖国神社に参拝した」、あるいは「参拝しなかった」というニュースが流れた。靖国参拝に対する中国や韓国の反発には、単なる批判に止まらない思惑が垣間見える。日本のとるべき道を考えたい。

第288回
銀行での人間模様を赤裸々に描いたドラマ『半沢直樹』が大人気だ。誇張があるとはいえ、元バンカーの筆者もリアリティを感じる部分はある。このドラマで描かれている銀行の姿を反面教師にして、日本の金融機関が目指すべき姿を考えたい。

第287回
最近、海外のファンドマネジャー関係者とやり取りをしていると、彼らの“アベノミクス”に対する関心が低下していることがわかる。一部の大手投資家はリスクオフの姿勢に転じている。彼らが“異次元の神通力”を見限り始めた理由は何か。

第286回
中国経済が曲がり角を迎えるなか、李克強首相の大胆な経済・金融政策は“李コノミクス”と呼ばれ、注目されている。しかし、貸出金利の下限金利を撤廃するシャドーバンキング封じ込め策など、世界が痛みを被りかねない副作用も考えられる。

第285回
7月初旬、4-6月期の決算を発表したサムスン電子の株価が、まさかの急落劇を演じた。その背景にある投資家の思いとは何か。スマートフォン市場の成熟化と中国企業の猛追、そして技術力の壁などが、財閥頼みの韓国経済に影を落としている。

第284回
最近「ブラック企業」という言葉を見ることが多い。劣悪な労働環境でも会社を辞められない社員が多いのは、日本の労働市場に流動性がないためだ。かといって、解雇規制の緩和を進めることが、必ずしも市場を活性化させるわけではない。

第283回
最近の韓国政府の行動を見ていると、韓国という国は単純でわかり易い国か、それとも複雑でわかりにくい国なのか、判断が難しい。中国にすり寄り、日本と距離を置く外交戦略は、韓国にとって本当に得なのか。日本はそれを見極める必要がある。

第282回
中国の銀行間貸出金利(SHIBOR)が跳ね上がり、乱高下を続けるなか、従来から懸念された中国の金融不安が顕在化したとの観測が広がっている。米国サブプライムショックの再来を懸念する声もあるなか、「中国事変」の先行きを読み解く。

第281回
5月下旬、バーナンキFRB議長による金融緩和策の縮小発言を受け、世界の金融市場は混乱、とりわけ新興国から多額の資金が流れ出している。先日のFOMCでも、出口への意思が明確に示され、新興国経済への先行きに不安が募っている。

第280回
株式のみならず、為替市場のドル円レートの値動きもいつになく激しい。異次元の金融緩和で1ドル=103円まで円安に触れていた相場は、米国の出口戦略観測により一時94円の円高に触れた。頭を抱える投資家続出の相場の背景には、何があるのか。
