成長率が7%台まで鈍化する中国
思い切った変革を進める“李コノミクス”
現在、中国経済が曲がり角を迎えている。かつて2ケタの成長率を誇っていた中国経済は、足もとで7%台の成長に鈍化しており、非効率な経済構造、過剰な生産能力、シャドーバンキングなどの未成熟な金融システム、政治の腐敗など、深刻な問題に直面している。
共産党の最高指導者である習近平・李克強のコンビは、こうした問題に正面から対応する姿勢を示している。特に李克強首相は、主に経済・金融の分野でかなり思い切った変革を実施しており、同氏の政策は“李コノミクス”と呼ばれている。
同氏の改革の基本は、「規模の大きな経済は、自由な価格形成メカニズムによって効率的に運営されるべきだ」との考えに基づいている。
7月20日にも、規制管理下にあった貸出金利の下限金利を撤廃することで、金融の自由化に向けた一歩を踏み出した。その措置の狙いは、無秩序に拡大しつつあるシャドーバンキングを縮小することにある。
思い切った変革は、短期的には様々な分野で軋轢をもたらすことが予想される。しかし、そうした痛みを伴う改革は、中長期的には経済の効率化に寄与するはずだ。
問題は、中国の政治・経済情勢が、“李コノミクス”の当面の痛みに耐えることができるか否かだ。“李コノミクス”を推進してそれなりの成果が上がれば、行き詰まりつつある中国経済を蘇生することができるだろう。
逆に、“李コノミクス”が道半ばで放棄されると、中国経済は一段と厳しい状況に追い込まれる。それは、世界経済にとっても重大なリスク要因だ。