真壁昭夫
第286回
中国経済が曲がり角を迎えるなか、李克強首相の大胆な経済・金融政策は“李コノミクス”と呼ばれ、注目されている。しかし、貸出金利の下限金利を撤廃するシャドーバンキング封じ込め策など、世界が痛みを被りかねない副作用も考えられる。

第285回
7月初旬、4-6月期の決算を発表したサムスン電子の株価が、まさかの急落劇を演じた。その背景にある投資家の思いとは何か。スマートフォン市場の成熟化と中国企業の猛追、そして技術力の壁などが、財閥頼みの韓国経済に影を落としている。

第284回
最近「ブラック企業」という言葉を見ることが多い。劣悪な労働環境でも会社を辞められない社員が多いのは、日本の労働市場に流動性がないためだ。かといって、解雇規制の緩和を進めることが、必ずしも市場を活性化させるわけではない。

第283回
最近の韓国政府の行動を見ていると、韓国という国は単純でわかり易い国か、それとも複雑でわかりにくい国なのか、判断が難しい。中国にすり寄り、日本と距離を置く外交戦略は、韓国にとって本当に得なのか。日本はそれを見極める必要がある。

第282回
中国の銀行間貸出金利(SHIBOR)が跳ね上がり、乱高下を続けるなか、従来から懸念された中国の金融不安が顕在化したとの観測が広がっている。米国サブプライムショックの再来を懸念する声もあるなか、「中国事変」の先行きを読み解く。

第281回
5月下旬、バーナンキFRB議長による金融緩和策の縮小発言を受け、世界の金融市場は混乱、とりわけ新興国から多額の資金が流れ出している。先日のFOMCでも、出口への意思が明確に示され、新興国経済への先行きに不安が募っている。

第280回
株式のみならず、為替市場のドル円レートの値動きもいつになく激しい。異次元の金融緩和で1ドル=103円まで円安に触れていた相場は、米国の出口戦略観測により一時94円の円高に触れた。頭を抱える投資家続出の相場の背景には、何があるのか。

第279回
波間に漂う木の葉のように揺れ動く日本株市場。投機筋が跋扈する相場の動きは、一方向に偏り易く、一般投資家にとってリスクが高い。その裏では、参加者のどんな思惑が交錯しているのか。日本株は堅調な上昇基調に戻る可能性はあるのか。

第278回
日経平均株価が急落して以降、市場関係者などから「株価下落はアベノミクスの限界を示した」という声が聞こえてくる。しかし、現状を見てアベノミクスを失敗だと決めつけるのは時期尚早だ。鍵となるのは「異次元の成長戦略」である。

第277回
スピード違反の上昇を続けてきた日本株市場が、5月以降、大手投資家の利益確定売りなどによって調整局面を迎えるとの観測が、現実のものとなった。株価が未曾有の乱高下を続ける「5月危機」の真相は何か。投資家は何に怯えているのか。

第276回
ドル・円相場は、当面の節目と見られていた1ドル=100円の壁を予想外のスピードで突き抜けた。市場関係者が使う分析手法「ソロス・チャート」に従うと、1ドル=110円突破も現実味を帯びてきた。どんなパラダイムシフトが起きているのか。

第275回
足もとで主要国の株式市場が軒並み上昇するなか、際立っているのが日本の株式市場だ。市場関係者の間では、“資産バブル”のときのようなまさに25年ぶりの相場との認識が広がっている。大量資金が駆け巡る市場にリスク要因はないか。

第274回
プーチン大統領との会談で安倍首相は、北方領土の返還交渉や極東地域における民間部門の開発協力など、広範囲な合意を含む共同宣言を実現した。交渉の足がかりをつくったことは評価できるが、背景にはロシア側のしたたかな筋書きも見て取れる。

第273回
最近、中国の経済・社会にとって、マイナスのニュースが目立つようになった。足踏みする成長率や鳥インフルエンザ感染の拡大は、大きな懸念事項だ。 輝きを失い始めた中国経済のリスクは、いかほどのものか。その「近未来」を考えたい。

第272回
英国初の女性首相で“鉄の女”と呼ばれたサッチャー氏が亡くなった。死してなお、彼女が行った改革は国論を二分している。わが国の政治を“鉄”のように強くして、必要な改革に向かわせるために、サッチャリズムから学ぶべきことは何か。

第271回
3月末にかけてソウルを訪れたが、意外にも現地でピリピリしたムードを感じなかった。韓国人が懸念しているのは、朝鮮戦争の休戦協定を破棄した北朝鮮の挑発行為よりも、むしろウォン高と輸出減速による経済の減速のように感じた。

第270回
昨年12月の衆院選挙での“一票の格差”に関する判決が出そろった。司法が突き付けた厳しい“最後通告”の意味とは何か。この機に我々国民も、民主主義の基本となる政治機能にどう関わっていくべきかを、自問自答してみる必要がある。

第269回
預金に対する課税案を巡って議会が紛糾し、EUやIMFへの支援要請が暗礁に乗り上げていたキプロス。ここにきて一応の合意が図られたものの、先行きは不透明だ。欧州債務危機を再び招きかねない、小国の「隠されたリスク」とは何か。

第268回
最近、韓国経済に対する悲観的な見方が強くなっている。背景には、ウォン高による輸出の伸び悩みなどにより、経済成長率が鈍化していることがある。実際、かの国が寄って立つ経済基盤は、意外なほど不安定だ。どんなリスクがあるのか。

第267回
経営悪化を背景にビジネスパートナーを求めてきたシャープは、最大のライバルであった韓国のサムスン電子と提携することを発表した。急転直下の提携発表は、同社が進む道の厳しさを改めて浮き彫りにした。今、なぜサムスンなのか。
