栗下 直也
第78回
名人4期、碁聖6期、タイトル獲得数35。「最後の無頼派」と呼ばれた囲碁棋士・依田紀基氏の自伝だ。ギャンブルで借金を背負い、家族が離散した「どん底」時代のエピソードまで赤裸々に明かしながら、プロとして勝ち続けるために必要な考え方について語る。勝負師の言葉は全ての職業人に通じる普遍性と重みがあるだろう。

第76回
2004年に福岡で起きた「大牟田4人殺害事件」。家族四人で共謀し、違法な金貸しを営み蓄財していた知人とその家族などを殺害して川に遺棄した残忍さが世間を賑わせた。その事件の真相に迫ったのが本書である。

第66回
戦後サッカー史で「影の最強チーム」と称された一つに東京朝鮮中高級学校(東京朝高)のサッカー部がある。都立朝鮮人学校だった1954年当時全国高校校サッカー選手権大会に創部間もないにもかかわらず初出場でベスト4。「影の最強チーム」と呼ばれた東京朝高サッカー部を育て上げたのは誰なのか、ジャーナリストの木村氏が明かす。

第57回
午前8時頃の東京メトロ・丸ノ内線に乗っていたら、大学生らしき2人組が「満員電車、マジやばい」と漏らしていた。車内は満員で窮屈ながらも、吊革につかまっていれば新聞を何とか読めるレベル。これが混雑率200%。ところが、高度経済成長期は300%で、その混雑ぶりは比較にできないほど深刻だったのである。

第34回
1993年に起きた「埼玉愛犬家殺人事件」。ペットショップを営む夫妻が客など4人を殺し、その残忍さが世間を震撼させた。特に本書の警察とヤクザのやり取りや被疑者に司法取引を持ちかける検事など、日本の闇も暴いた点は興味深い内容となっている。

第32回
「AVの帝王」で前科7犯、借金50億といえば、村西とおる。パンツ一丁で業務用カメラを抱えて、「ナイスですね」とハスキーボイスで発する姿は多くの人にとって、忘却の彼方だろう。本書のAVの話もさることながら、彼のビジネスセンスや行動力にも注目して読んでほしい。
