日比野恭三
2018年は、大学スポーツ界が大きな分岐点を迎えた年だと言えるだろう。日本大学アメリカンフットボール部の悪質タックル問題が世間の耳目を集め、かたや全米大学体育協会(NCAA)をモデルとした競技横断的統括組織UNIVAS(いわゆる日本版NCAA)が、今年度内の創設に向け具体的に議論された。これらの動きは、「大学スポーツが現在のあり方のままではいけない」という問題意識を共通して内在している。

プロの舞台で花開くか否か。それが「やってみないとわからない」性質のものである以上、ドラフトが成功だった、失敗だったと断じることは不可能だ。論じることができるとすれば、目当ての選手の交渉権を事前の戦略通りに獲得できたかどうか、という点になる。そして特に重要なのが、評価が高い上位24人、2巡目までの指名をどう乗り切るかだろう。

「今、『日本のプロ野球って何ですか』と言われたら、カープだと思う。それぐらいに、日本のプロ野球を象徴するようなブランドになった」そう語るのは横浜DeNAベイスターズの前社長、池田純氏だ。

2018年9月26日、広島カープは球団史上初のリーグ3連覇を決めた。この日のスタメンは全員が生え抜き選手。途中出場した新井貴浩もカープでプロ生活をスタートさせ、代打で打席に立ったバティスタはドミニカのカープアカデミー出身だ。12球団を見渡しても、これほど“自前”の戦力で構成されたチームはカープのほかには見当たらない。
