「カープ」は日本プロ野球を
象徴するブランドに
10年前、2008年の広島カープはどんなイメージの球団だっただろうか。
ベースをぶん投げることで判定に対する不満を露わにしたブラウン監督がいた。チームは7年ぶりに4位に入ったが、長らくの指定席であるBクラスから抜け出すことはできなかった。孤高の天才打者、前田智徳は37歳になっていて、のちにメジャーリーグに挑むことになる前田健太はまだ2年目。全国区のスターだと胸を張って言える選手は見当たらなかった。
10年後の2018年、かつてのイメージはことごとく覆された。
“タナキクマル”こと、田中広輔、菊池涼介、丸佳浩の同学年トリオに、若き4番・鈴木誠也が並ぶ強力打線。投手では27歳の大瀬良大地がエースに成長し、最多勝のタイトルを獲得した。緒方孝市監督に率いられ、セ・リーグ3連覇を達成。強いカープ見たさに、2009年開場のマツダスタジアムには球団史上最多223万人の観客が押し寄せた。
「今、『日本のプロ野球って何ですか』と言われたら、カープだと思う。それぐらいに、日本のプロ野球を象徴するようなブランドになった」
そう語るのは横浜DeNAベイスターズの前社長、池田純氏だ。ベイスターズの経営を担った2012~16年の5年間、カープの隆盛を目の当たりにした。