窪谷 浩
2025年前半の米国経済は、高関税や移民制限による景気後退懸念が強まる中でも、AI関連投資と個人消費が成長を支え、意外な底堅さを示した。生成AIブームと資産効果が景気を下支えする一方で、労働市場の減速やインフレ再燃、FRB(米連邦準備制度理事会)内の意見対立が鮮明化し、今後の政策判断は一段と困難さを増している。

2期目のトランプ政権が始動した。就任初日から大統領令を連発し、移民政策、関税政策などトランプ氏の目玉政策に向けた布石が打たれている。それらが米国の景気やインフレ動向にどのような影響を及ぼすのか検証した。

コロナ禍が米国経済にもたらす影響が甚大だ。先日発表された4-6月期GDPは前期比年率▲32.9%と、1947年の統計開始以、来最大の落ち込み幅となった。FRBは初動対応が奏功し、市場の信認を勝ち得たものの、金融政策には限界がある。今後はどう動くのだろうか。

新型コロナウイルスに対応するため、米FRBは3月以降、実行可能な政策を総動員して危機対応を行っている。4月末に開催されたFOMCでは、一連の金融政策維持を決定したが、さらなる政策強化には限界が見え始めている。FRBが考える「次の一手」とは何か。
