
石井大輔(ソニーグループ クリエイティブセンター センター長)/日本インダストリアルデザイン協会(JIDA)
社内と社外、社会性と事業性、長期的なビジョンと短期的なビジネス課題……。新しい事業を創造しようとするとき、強いアイデンティティを構築するためには、異質なものを丁寧に繋ぎ合わせる作業が不可欠だ。ソニーグループでこの役割を担うのが、インハウスデザイン組織のクリエイティブセンターである。ソニーが挑戦した革新的なモビリティのプロジェクト「VISION-S」と、本田技研工業との提携において「デザイン」はどのように貢献したのか。初期段階から「Creative Hub」としてプロジェクトをけん引したクリエイティブセンター長の石井大輔氏が語る。

モノからサービスへ、リアルからデジタルへの大潮流がビジネスのあらゆる領域を覆う中、「デザイン」の役割が広がっている。特に、業界や業種を超えたつながりを駆使して多角的に事業を展開する大企業のブランド戦略に不可欠なのが「デザイン」の視点だ。ソニーグループの歴史あるデザイン組織「クリエイティブセンター」でも、近年とりわけ活性化しているのがブランディングデザインにまつわる活動だという。注目すべきは、一般的にはビジュアル要素が強いと考えられているデザインという枠組みの中で、「言葉」を意識的に使いこなしていることだ。同センター長、石井大輔氏が、現在に至るまでの経緯と取り組みの特色を語る。
