日本テレビで放映中のドラマ「働きマン」が話題だ。

 ドラマを観ていない人のために説明すると、ヒロインの松方弘子(28歳)はバリバリの週刊誌編集者。仕事となると男性ホルモンが脳内を満たし、夜討ち朝駆けで取材をこなす、文字通りの「働きマン」である。おかげで、彼氏とのデートはおろそかにならざるを得ず、女の幸せはつかみそこねているのだが……。

 それでも、「よくやった、スクープだ!お前の記事で巻頭8ページぶち抜くぞ!」という編集長の一声で、今度は脳内快感ホルモンが一気に吹き出てしまう。そして、嬉々として次の企画に取り組んでしまうのだ。

 しかし、こんな松方も三十路に突入すれば、うつにかかる恐れがある。

 「少し前まで、うつは中年期から初老期の病気とされていた。ところが90年代の後半から若い人が増え始め、今では完全に30代が主流となっています」こう指摘するのは、精神科医の御茶ノ水医院・市川光洋院長だ。

 30代のうつにはいくつかのタイプがあるが、そのひとつが「仕事一体型うつ」。仕事に自らのアイデンティティを見出している、ちょうど松方のようなタイプがかかるうつのことだ。

 もちろん、30代うつの中でも、最近は「現代型うつ」とか「未熟型うつ」といって、一般的なうつとは少々異なるうつもある。これは、「職場ではうつの症状が出るものの、自宅や趣味の世界では別人のように元気になってしまう」というもので、職場に適応できない人に多く見られる。「仕事一体型うつ」はそれとは違い、従来のうつと同様、場所を選ばず症状が現れる。

 なぜ今、30代の「仕事一体型うつ」が増えているのか――。