紙・パルプ業界は悪材料に事欠かない。新聞の発行部数激減に、書籍・雑誌やコピー用紙といった印刷・情報用紙の減少。これまで堅調だった段ボール資材の需要も崩れた上、今後は炭素賦課金という“2028年問題”が襲い掛かる。業界別の倒産危険度ランキングとして、特集『2025年「倒産ドミノ」勃発!?倒産危険度ランキング【上場434社・最新版】』の#12で取り上げるのは紙・パルプ各社。8社が“危険水域”に入り、大王製紙がワースト2位にランクインした。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
紙需要減で苦境に立たされる紙パ業界
“2028年問題”=炭素賦課金で泣き面に蜂
新聞販売店の倒産が全国で相次いでいる。東京商工リサーチによると、今年は10月までに40件もの倒産(負債総額1000万円以上)があった。これまで倒産が最も多かった年は2014年と19年だが、それぞれ29件にとどまっていた。24年は既に過去最高の水準を大幅に更新しているのだ。
最大の要因は新聞の発行部数激減である。23年の発行部数は前年比7.3%減の2859万部。5370万部だった2000年と比べ、ほぼ半減という悲惨な状況に陥っている。新聞の部数減が続き、大きな紙需要を毎年失っていることから、今回取り上げる紙・パルプ業界は苦境に立たされている。
ペーパーレス化の進展は新聞にとどまらず、書籍・雑誌やコピー用紙も同様だ。印刷・情報用紙の減少トレンドに歯止めがかからない。さらに、これまで堅調だった梱包用の段ボール資材も、物価高の影響を受けて足元で需要が伸び悩んでいる。
国内で衰退産業の代表格のようになっている紙・パルプ業界だが、今後も泣き面に蜂とばかりに“2028年問題”が襲い掛かってくる。政府は化石燃料を輸入する事業者に対し、28年度から炭素賦課金の支払いを義務付けることになっている。
製紙業は紙の乾燥や漂白の工程で大量の熱エネルギーを使う。その際、多くの会社は、安価だが大量に二酸化炭素を排出する石炭に頼っている。このため紙・パルプ業界の炭素賦課金の負担は、かなり重いものになることが確実視されているのだ。
そこで今回、ダイヤモンド編集部は厳しい状況にある紙・パルプ各社の倒産危険度ランキングを作成した。その結果、8社が“危険水域”に入っていることが判明した。
このうち、業界大手の大王製紙がワースト2位にランクインした。果たして1位はどこか。次ページでは、ワースト上位企業の顔触れを見ていこう。