NISA入門
2014年12月15日公開(2017年8月21日更新)
バックナンバー 著者・コラム紹介
肥後 紀子

「NISA口座の金融機関を変更したい!」
不利益にならないように気を付けたい、上手な
NISA口座の金融機関変更のポイントと手続きとは?

NISAの注意点とは? 正しいNISAの使い方! 各証券社のNISA取引のスマホ対応の詳細はこちら! NISAのメリット・デメリットはこちら! NISA口座選びの4つのポイントはこちら! NISA口座の金融機関を変更する方法はこちら!


2014年から導入された少額投資非課税制度「NISA」。NISA口座は、1人1口座しか持つことができないが、その口座を開く金融機関は1年ごとに選び直すことができる。NISA口座を変更した場合のメリットとデメリットや変更の手順、また注意すべきポイントなどをまとめた。

2016年現在のNISA制度では、金融機関を1年ごとに変更できる!

 NISA元年の2014年には、一度NISA口座を開設すると2014年1月1日から2017年12月31日までの4年間(第一勘定設定期間と呼ばれる)は金融機関を変更することができなかった。しかし、2015年からは制度が変わり、1年に1回、NISA口座を開く金融機関を選択し直すことができるようになっている。

2016年に金融機関AでNISA口座を開設して取引があっても、2017年は金融機関Bで新たに口座を開設できる(金融機関Aの取引残高はそのまま残るが、売却以外の新規の取引は不可)。
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 また、一度NISA口座を開いてその後口座を閉鎖した場合、当初は2017年末までの4年間はNISA口座の再開設ができなかった。こちらについても、2015年以降は口座を閉じた翌年に再びNISA口座を開設することが可能だ。

 では、2016年にある金融機関でNISA口座の取引を行ない、2017年は別の金融機関でNISA口座を開き直した場合、2016年分のNISA口座の取引残高はどうなるだろうか?

 答えは「そのまま残せる」だ。

たとえば、2016年にA証券でNISA口座を開いて60万円分の金融商品を購入。2017年に新たにB証券でNISA口座を開設したとしても、2016年に投資した50万円分の株式はA証券で保有し続けられる。ただし、B証券で開いたNISA口座に移管することはできない。

 もちろん、A証券で保有し続けても、売却時の利益や配当、分配金は全額非課税になるのでご安心を。そのまま保有できる期間は、現行の制度どおり、最長で5年間となっている。

 一方、2016年4月からスタートしたジュニアNISA(未成年者少額投資非課税制度)では、成人向けの通常のNISAとは扱いが異なり、1年に一度金融機関を変更することはできない。

 どうしても変更したい場合は、開設済みの口座をまず廃止する必要がある。しかし、ジュニアNISAでは18歳までは原則払い出しが制限されていて、災害などやむを得ない理由を除いて口座を廃止した場合は、非課税で受領したすべての売買益や配当金などが過去に遡って課税されてしまう。「ジュニアNISAでは金融機関は変更できない」と理解しておいたほうがよいだろう。

金融機関変更によるメリットは、取引商品の選択肢拡大など

 さて、せっかく開いたNISA口座。わざわざ手間をかけて金融機関を変更して、口座を開き直す意味はどこにあるのだろうか。金融機関変更によるメリットとデメリットを見ていこう。なお、ジュニアNISAについては前述のとおり、原則金融機関の変更ができないため、ここでは通常のNISAの話に限定している。

 もちろん、今NISA口座を開いている金融機関で特に不満がないという人は、変える必要はまったくない。変更してメリットがあるのは、以下に当てはまる人だろう。

①現在NISA口座を開いている金融機関では、取引したい商品を扱っていない

 たとえば、銀行ではもともと株式の扱いがないため、NISA口座を開いても株を購入できない。また、証券会社であっても、外国株や海外ETFの取扱い状況には差があり、投信についても扱い銘柄数は各社で大きく異なる。

②NISA口座を開いている金融機関の取引手数料に不満がある

 そもそも各金融機関の取引手数料にはかなり差があるが、NISA口座の場合は、「日本株の売買手数料が無料」(SBI証券松井証券マネックス証券楽天証券など)、「海外株(海外ETF含む)の購入手数料を全額キャッシュバック」(マネックス証券)といった手数料の特典を用意しているネット証券も多く、特典のない金融機関とは差が大きい。手数料の高いところでNISA口座を開いた人には、金融機関変更の意味はあるだろう。

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③NISA口座の使い勝手に不満がある

 スマホアプリでNISA口座の取引ができない、スマホサイトでのNISA口座の情報表示が分かりにくいなど、使い勝手の悪さなどから変更をしたいと考える人もいるのではないだろうか。ちなみに、大手ネット証券では、スマホ(アプリまたはサイト)でNISA口座の取引ができるところが増えてきている。

金融機関変更による最大のデメリットは、ロールオーバー不可!

 金融機関の変更によるデメリットには何があるだろうか? 変更手続きに多少の手間と時間がかかること以外では、元の金融機関の保管専用のNISA口座では、期間の延長(ロールオーバー)ができないことが挙げられる。

 通常、NISAでは、5年間の非課税期間が終了した後に、翌年の非課税投資枠を使ってさらに5年間、非課税期間を延長することができる。しかし、この非課税期間の延長(ロールオーバー)は同じ金融機関の間でしかできない。

 たとえば、2016年にA証券のNISA口座で60万円投資して、5年経って「今は含み損の状態なので、もう少し非課税期間を延長したい」と思ったとする。A証券でそのままNISA口座を継続していれば、2023年からの非課税期間にロールオーバーできる。しかし、すでにB証券でNISA口座を開き直しているとロールオーバーはできないため、課税口座に移すかその時点で売却するかしかない。

 現在開設している金融機関のNISA口座にすでに取引残高がある場合は、先々ロールオーバーをする可能性についても考慮した上で、金融機関の変更を検討するのが望ましい。

 また、A証券のNISA口座(保管専用)に60万円、B証券のNISA口座には100万円というように、複数の金融機関にNISA口座があると管理がしにくくなるというのもデメリットと言えるかもしれない。

NISA口座の金融機関を変更するための手順は?

 まず、金融機関を変更するための「受付期間」を押さえておこう。金融機関の変更は、「変更を希望する年の前年10月1日から、変更する年の9月30日まで」と定められている。この期間内に変更先・変更元のそれぞれの金融機関で手続きを行ない、完了する必要がある。

 たとえば、2017年からNISA口座を開く金融機関を変えたい場合は、2016年10月1日から変更手続きを行える。また、2017年に入ってからでも、9月30日までに手続きが完了すれば2017年のうちにNISA口座を開く金融機関を変えることが可能だ。

 変更手続きの手順は以下のとおり。細かい部分では、金融機関によって対応が異なる可能性もあるので、必ず自身が利用している(利用を検討している)金融機関で確認して欲しい。

【1】現在NISA口座を開いている金融機関に、「金融商品取引業者等変更届出書」を提出し、「非課税管理勘定廃止通知書」または「非課税口座廃止通知書」を送付してもらう。

【2】新たにNISA口座を開設する金融機関に、「非課税口座開設届出書」を提出。その際、【1】で受け取った「非課税管理勘定廃止通知書(非課税口座廃止通知書)」も添付する。※必要に応じて、本人確認書類も提出。

【3】新たにNISA口座を開設する金融機関が税務署への申請手続きを行なうので、あとはNISA口座開設完了の連絡を待つだけ!

 ちなみに、他社から自社へのNISA口座の変更手続きは目立つように掲載していても、自社から他社へのNISA口座の変更については積極的に紹介していないネット証券もある。手続きの申し込みなどでわからない場合は、各社のコールセンターなどで質問するのが早いだろう。

「よくあるご質問」のページで、他社から自社のみならず、自社から他社へのNISA口座変更手続きについても説明されている楽天証券のサイト。
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NISA口座の金融機関変更で注意すべきポイントは?

 最も注意したいのは、金融機関を変更したい年にNISAの非課税投資枠を一度でも使ってしまうと、その年には金融機関の変更ができなくなるという点だ。

 特に、年の途中で金融機関を変えようとする場合は、その年にすでに取引をしていないかどうかをしっかり確認して欲しい。新たに銘柄を買ったつもりがなくても、投信積立をしていたり、分配金再投資コースを選んで再投資買付が行なわれたりというケースもある。金融機関変更を検討している場合は、積立の中止など必要な手続きを早めに済ませておいたほうがよいだろう。

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