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「富山の置き薬」方式で急成長!
飲料の価格破壊を仕掛ける革命児
阪神酒販社長 檜垣周作

週刊ダイヤモンド編集部
【第109回】 2010年4月13日
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阪神酒販社長 檜垣周作(撮影:相川大助)

 ちょっと風変わりな「自動販売機」が、東京都内のオフィスを中心に増えている。居酒屋などで見かけるガラス引き戸の冷蔵庫から缶コーヒーやペットボトルのミネラルウオーターなどを取り出し、そばに置かれた貯金箱のような小箱に代金を入れる仕組みだ。普通の自動販売機なら100円のミネラルウオーターが50円と安い。

 オフィスに冷蔵庫を無料で設置し、飲料を詰め込み、後で代金回収して歩く。そんな「富山の置き薬」方式の飲料販売(オフィスオアシス)で急成長しているのが阪神酒販(本社・神戸市)である。

 社長の檜垣周作は34歳。神戸市出身で、酒類販売を生業とする一族に生まれ、中学校から経営者の子弟が多い甲南学園に進んだ。大学卒業後、アサヒビールに入社したが、2年で退社してしまう。

 アサヒビール時代、酒類販売は免許制だった頃の名残や特約店制度などしがらみの多い世界で、非効率に見えた。もっとシンプルな流通にすれば消費者に喜ばれる、日本の流通を変革したい。そうした信念が檜垣に芽生えた。親族や学校での付き合いを通して企業を興すことは自然に思えていたし、学生時代に旅した米国で触れた旺盛な起業家精神に対する憧れもあった。

 親族が所有していた休眠会社をもらい受け、2001年に阪神酒販を創業した。当時、25歳という若さだった。

 最初に仕掛けたのは、日本酒のインターネット通信販売である。日本酒流通は「最もしがらみが多かった」。そこでネットによって流通を中抜きし、直接消費者に売ろうと考えた。

 ところが、さすがに事業を立ち上げたばかりでは商品集めはままならず、10年前は通販で日本酒を買うという人も少なかった。売り上げは目標の10分の1と低迷し、自分自身の給料すら稼げず、事務所で寝泊まりする日々が続いた。

ミネラルウオーターのネット低価格販売で
新たなヒントをつかむ

 苦しい日々から抜け出すきっかけとなったのはミネラルウオーターだ。05年前後から世界的に需要が拡大し、日本でも海外製のミネラルウオーターが高い値段で売れるようになった。檜垣はここに目をつけた。何段階も卸や商社が介在しているため、価格の7割が流通コストとなっているうえに、ネット通販もなかったからだ。

 檜垣は単身ヨーロッパに渡り、有名ブランド商品の直接買い付けに成功する。それをネットで市販価格の3分の1で売り出したのだから、売れないわけがない。はたして、通販事業は急拡大するのだが、ここで舞い上がらないのが檜垣らしさである。

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