ドル安・円高トレンドは2011年まで続くと見ている。しかし今年はこの円高トレンド経路内でしばらく円安になる可能性がある。
ドル安・円高は、日米の景気悪化、金利低下、株価下落とともに進行し、景気回復期に米利上げが数回行われるまで続く傾向がある。米金融引き締めの初期は、利上げに沿った米債券・株式の反落がドル安を招くことが多い。
ところが最初の米利上げへの期待が強まる期間は微妙にドル高になりやすい(図1)。11年にFF金利が1.0%まで引き上げられるとの野村證券予想に照らし、ドル/円は今年100円前後まで上昇し、来年90円前後へ反落する軌道を想定する。
当面の円安を促す力は何か。投資家マネーの流出入は交錯して必ずしも円安促進的ではないだろう。本邦投資家は、経済が回復し株価が底堅ければ、リスク許容度を改善させ、対外投資を緩慢ながらも増やすだろう。