ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
inside

燻るハンガリー財政破綻の火種
日本の衝撃度はギリシャの2倍

週刊ダイヤモンド編集部
2010年6月21日
著者・コラム紹介バックナンバー

 欧州財政危機はどこまで飛び火するのか。

 4月に政権交代を果たしたハンガリーのオルバン新政権の報道官が6月4日、「前政権の財政赤字を過小評価していた」と発言したのをきっかけに、ハンガリーの財政破綻懸念が噴出した。ハンガリー国債のCDSスプレッドは、200ベーシスポイント台半ばから一気に400ベーシスポイント前後にまで拡大した。ハンガリーへは、オーストリア、ドイツ、イタリアの銀行が多額の融資をしている。財政破綻は金融不安を招くとの連想から、ユーロは大きく売り込まれた。

 その後、オルバン首相はIMF(国際通貨基金)の支援条件である2010年の財政赤字の対GDP比3・8%の目標を達成するために最大限努力すると発言し、新銀行税の導入など財政再建策も発表するなど火消しに努めた。そのかいもあり、破綻懸念は沈静化したように見える。

 しかし、財政再建の道筋は平坦ではない。08年にIMFの支援を仰いで以降、緊縮財政に舵を切った結果、08年第4四半期から09年第4四半期までマイナス成長が続いている。税収の落ち込みも追い打ちをかけ、欧州委員会は09年のハンガリーの財政赤字の対GDP比率見通しを4・1%とした。つまり、IMFとの公約を守れないと見ているのだ。

 依然として市場の目も冷ややかである。オルバン首相の発言以降縮小したとはいえ、CDSスプレッドはポルトガルとほぼ同水準の300ベーシスポイント前後で推移している。破綻への警戒心は解かれていない。ギリシャの例を見てもわかるように市場に追い込まれれば、国家といえども資金繰りに窮するのは言うまでもない。

 オルバン新政権は、緊縮財政に反する減税を掲げて選挙に勝利した。国民の緊縮財政への反発を追い風とした以上、方針転換は国民への裏切りと映りかねない。

 ハンガリー同様、IMF管理下にあったアルゼンチンは05年12月、増税、大幅な歳出削減策を発表した。だが、それが暴動を招き、対外債務支払い停止に追い込まれ、ついに06年4月には債務不履行に陥った。ハンガリーも同じ轍を踏む可能性は十分にある。

 仮にハンガリーが財政破綻すれば、日本に対するそのインパクトはギリシャより大きい。

 ハンガリーは1500億円、ハンガリー国立銀行は500億円のサムライ債(非居住者発行の円建て債)を発行している。これは、ギリシャとギリシャ国有鉄道の残高合計1087億円の2倍弱に当たる。しかも、「ハンガリー関連のサムライ債は個人投資家も保有している」(香月康伸・みずほ証券チーフクレジットアナリスト)。デフォルトとなれば、被害は広範にわたる。

 また、隣国オーストリアのハンガリーへの与信残高は369億6400万ドルと突出しており、ギリシャへの与信残高の8倍強に及ぶ。破綻すればオーストリアの金融不安を招くことは確実だ。

 欧州財政危機の火種は依然として燻っている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 竹田孝洋)

週刊ダイヤモンド

今週の週刊ダイヤモンド

2017年1月28日号 定価710円(税込)

特集 劇変世界を解く 新地政学

世界史の大転換が始まる

【特集2】
銀行界も戦々恐々
コンビニATM戦争

【下記のサイトからご購入いただけます】

(ストアによって販売開始のタイミングが異なるため、お取扱いがない場合がございます)

【下記のサイトからご購入いただけます】

(ストアによって販売開始のタイミングが異なるため、お取扱いがない場合がございます)

【下記のサイトからご購読いただけます】

(ストアによって販売開始のタイミングが異なるため、お取扱いがない場合がございます)

スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

週刊ダイヤモンド編集部


inside

産業界・企業を取り巻くニュースの深層を掘り下げて独自取材。『週刊ダイヤモンド』の機動力を活かした的確でホットな情報が満載。

「inside」

⇒バックナンバー一覧