今や少額でも投資できる時代だが、やはり元手が少ないと資産が増えるスピードは鈍る。初期は節約して、投資に回す資金をなるべく増やしたい。そこで今回は、節約で数千万円の元手を作り、そこから億り人になった2人の事例を公開!(取材・文/ダイヤモンド・ザイ編集部)
累計利益は驚異の60億円! マサニーさんの事例
投資センスのなさを実感し、初期はオルカンだけで資産増!
現在、手元にある資産はおよそ40億円。月1000万円使うことが目標になっているというのは、40代の個人投資家・マサニーさん。“使うことが目標”とは驚きだが、かつてのマサニーさんは、長期にわたって質素・倹約の生活を送ってきた。というのも、投資を始めたばかりの頃は、根性の節約で投資資金を捻出していたからだ。もともと児童養護施設育ちで「幼少期は裕福ではなかった。お金に困らない生活をしたいという欲望は人一倍強かった」と、マサニーさんは振り返る。
社会人1年目から個別株やデイトレ、トルコリラなどの投資に手を出すが、いずれも失敗。「自分には投資センスはないと早々に悟りました。なので、インデックス投資一択で資産形成を目指しました」
力を入れたのは、前述のように節約して投資に回すお金を増やすことだ。1カ月の食費は1万円以下、交通費を浮かすため通勤時に2~3駅歩くなどの節約生活で、毎月10万円以上の投資資金を捻出し、インデックス投信(現在のオルカン=全世界株投信)に集中投資した。
「ともかく、投資を始めたばかりの時期は節約して、入金していくことが大事」と、マサニーさんは力説する。収入が増えても支出は増やさず、結婚後も共働きで、投資に回すお金を減らすことはなかった。その結果、「オルカンだけで13年で5000万円作れた。会社員なら、節約とオルカンで1億円は作れます」
しかし、マサニーさんの資産は数十億円という単位だ。そこまで一気に増えたのは、離婚したことで自暴自棄になり、資産5000万円の時点で未公開株に投資したところ、たまたまそれが大当たりしたためだという。
「でも、このやり方は人には絶対におすすめしません! 最低1000万円以上必要なうえに、詐欺案件も多い。5件やって全部外れることもあります」
自身のメチャクチャな投資人生を反面教師として、「1億円までは節約&オルカンで作り、1億円できたら余裕資金でIPO案件など、ハイリスク・ハイリターン型の投資をすればいい」と、マサニーさんは提案する。ちなみに、現在の資産40億円のうち30億円は今でもオルカン。残りは債券と、恩返しも含めて若い人たちへの支援でスタートアップに投資したり、児童養護施設に寄附したりしている。
マサニーさんが節約・投資生活のモチベーションにしていたのは、エクセルでの資金管理だ。FIREすると仮定し、現時点の資産を残りの寿命で割って、毎月1カ月に使えるお金を計算するのだという。この計算でいくと、資産が3000万円あってもまだまだ足りないため、節約を続け生活レベルを上げなかった。1億円あれば毎月使えるお金がいまの生活費を上回るので、FIREできると考えられる。
資産の増加に合わせて少しずつ生活レベルを上げていき、今ではさすがに節約生活からは卒業。今度は持っている資産を、残りの寿命で使い切ることが目標になった。冒頭で紹介したように、月1000万円使うことにしている、というのはそのためだ。今では、1回の外食で20万円使うこともあるという。しかし、原点は突き詰めた節約生活にあり、そこで頑張れたからこそ今がある、とマサニーさんは語る。