
日本の米の輸入関税700%は
本当に「理解不能」なのか?
米国のトランプ大統領は4月2日、「相互関税」と呼ばれる関税を導入すると発表し、日本には24%の追加関税が課されることになった。カナダやメキシコはゼロ、英国は10%、EU(欧州連合)は20%であるから、予想外の仕打ちだし、それを受けて株価も下がっている。
こうした厳しい数字を正当化する理由としてトランプ大統領が使ったのが、「日本では、米の輸入関税が700%だ」という指摘である。
一方、国内では、米の高値が継続し、スーパーでの販売価格は5kg4000円などになっている。この2つの問題は相互に関連しているので、少しややこしいが、私も1993年に日本がコメの部分的な輸入解禁を決めたウルグアイ・ラウンド交渉に関与していたこともあるので、この問題の歴史と現状の概略をかみ砕いて解説したい。
トランプ大統領の指摘に対して、江藤拓農林水産相は「論理的に計算してもそういう数字は出てこない。理解不能だ」としている。日本側の反論としては当然だが、トランプ大統領が口からでまかせを言っているわけでもない。
戦後の日本は米の自給を目指すべくほとんど輸入していなかったが、ウルグアイ・ラウンド農業協定により、1995年から米100%自給に小さな穴があいた。
ミニマムアクセス(最低輸入量)は、最初は国内消費量の4%、現在では約8%を関税ゼロで輸入し、それを超える分は、精米で5kg当たり1705円。1kg当たり341円の関税を取っており、商業輸入は成り立たない水準だ。