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原英次郎の「強い中堅企業はここが違う!」 トップに聞く逆境の経営道

あのマイケル・ポーター教授も認めた!
大洋薬品工業 新谷社長の競争戦略(前編)

原 英次郎 [週刊ダイヤモンド論説委員]
【第5回】 2009年6月24日
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 この数年、「ジェネリック医薬品」という言葉を耳にした人も多いだろう。今回登場する大洋薬品工業は、ジェネリック医薬品メーカーで、最大手の一角を占める。同社のほか、沢井製薬、日医工、東和薬品がジェネリックの大手4社。このうち同社だけが、株式を公開していない。

 名古屋駅から歩いて5分ほどの本社を訪れると、まずエントランスの景色に驚かされる。そこは熱帯雨林風の緑に覆われている。聞けば、若い社員たちのアイデアで、沖縄本島の「やんばるの森」をイメージしたという。

 ジェネリック医薬品とは、新薬の特許が切れた後に、後発品メーカーが同じ成分で出す薬のこと。後発品とも呼ばれる。かつては新薬メーカーから「ゾロ品」と、見下されていた時代もあった。それがいまや高齢化社会の到来で、政府は膨張する医療費をなんとか抑制しようと、さまざまな優遇策を講じて、ジェネリック医薬品の普及を後押ししている。

 医療用医薬品に占めるジェネリック医薬品の割合は、日本では数量ベースでまだ17%程度。米国の63%、ドイツの56%に比べると、まだまだ低い。それは逆に、これからまだ伸びる余地があることも物語っている。

大洋薬品工業 代表取締役社長 新谷重樹(あらたにしげき)

新谷社長:2000年代に入り、ジェネリック医薬品が社会に認知されてきたころから、売り上げが伸びてきました。その背景にあるのは、商品の品ぞろえです。商品構成が多彩になるにつれて、急激に売上が伸びてきました。それまでは100億円を少し超えるくらいの売り上げが、ずっと続いていた。売上でいえば、2001年度が136億円、2002年度が170億円、2003年度には228億円と伸びてきました。

 もともと収益性は高い会社だったのですが、2003年度に売上228億円に対して、経常利益が73億円、経常利益率で30数%になった。そのとき私は、これで「行ける」という感触をつかんで、一気に工場への投資・増産投資を始めました。2003年度から2008年度までで、約850億円の投資をしています。前2008年度は売上420億円、経常利益は53億円でした。今期は売上503億円、経常利益は79億円を計画しています。

 過去ジェネリック医薬品のメーカーは、沢山あった。その後、栄枯盛衰があり、ほとんどの会社が他の会社に買収されてしまいました。国内同士ばかりではなく、インドなど外資系のメーカーに買収されたところもあります。1990年代には、大手メーカーもジェネリックに進出してきましたが、1年足らずでほとんどが撤収してしまいました。現在、大手で残っているのは、エーザイさんと明治製菓さんくらいです。

 ただ、私が驚いたのは、昨年、第一三共さんが、インドのジェネリックメーカー・トップのランバクシーをお買いになったことです(買収総額は約2000億ルピー、1ルピー=2円換算で4000億円)。株価下落の影響で、前期末に3000億円以上の評価損を計上されましたが、長い目で見れば、これはいい決断だと、私は思います。

 製薬業という点では、(大手が中心の)新薬メーカーとジェネリックメーカーは同じですが、業態は全く違います。新薬メーカーの物差しで考えて、この分野に出てきても、必ず失敗します。品質が同じでも、安く作るというノウハウがないと、とてもコストが吸収できません。

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原 英次郎 [週刊ダイヤモンド論説委員]

1956年生まれ、佐賀県出身。慶應義塾大学経済学部卒。
1981年東洋経済新報社に入社。金融、証券、エレクトロニクスなどを担当。
1995年『月刊金融ビジネス』、2003年4月『東洋経済オンライン』、
2004年4月『会社四季報』、2005年4月『週刊東洋経済』の各編集長などを経て、2006年同社を退社。
2010年3月ダイヤモンド・オンライン客員論説委員、2011年10月編集長、2015年1月より現職。
主な著書に『銀行が変わる?!』(こう書房)、『素人のための決算書読解術』(東洋経済新報社)。

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