セブン&アイ・ホールディングス傘下のミレニアムリテイリングが、従来の百貨店モデルからの脱皮を志向して、低価格路線を進めている。

 婦人・紳士・子ども服やインテリアで、従来商品より4割ほど安いプライベートブランド(PB)の「リミテッドエディション」を、9月からそごうと西武百貨店で発売する。

 思い切った低価格を実現するには、「従来の取引先との協業だけでは限界がある」(松本隆・ミレニアムリテイリング取締役)と、ショッピングセンター向けアパレルで中国に200の協力工場を持つクロスプラスなどと組んだ。デザインやパターンの点数を減らし、百貨店側が完全買い取りで在庫リスクを取る。婦人服ならジャケットが1万2000円、カットソーは6000円という価格である。

 さらに、従来の取引先とは、賃料の引き下げや、立地のいい売り場を提供するのと引き換えに仕入れ価格と販売価格を共に1~2割抑える。

 全国百貨店の衣料品売上高は、不況とファストファッションに押されて、2009年上半期(1~6月)は前年同期比13.9%減と大苦戦中だ。消費者の目が肥えたこともあり、「2010年から始まる10年間は、ファッションの世界は“ロープライス”が一つのテーマ」(デザイナーの田山淳朗氏)と、この流れは続きそうだ。

 ミレニアムは、すでに食品ではセブン&アイのPB「セブンプレミアム」を導入するなど、従来の百貨店モデルから舵を切っている。

 ただ、衣料品PBは、「最初の一年間はどこがやってもうまくいく。在庫評価が出てくる2年目からが正念場」(アパレル関係者)だ。過去に百貨店が始めた衣料品PBは、在庫評価損が発生すると、結局メーカーに返品して、うやむやになり立ち消えになってしまうケースが多かった。

 時代のあだ花で終わらないためには、いかに腰を据えて、本格的に取り組むかにかかっている。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 須賀彩子)

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