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山崎元のマルチスコープ

夏休みに考えるキャリアプランニングと
マネープラン共通のコツ「三箇条」

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第142回】 2010年8月11日
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お盆休み用に

 世間はお盆休みのムードが濃厚だ。高速道路の渋滞がニュースになる一方、都会の交通やオフィスは日頃よりも空いている。ここのところ、もっぱら菅内閣を批判する記事を書いてきたが、最早ほとんど「死に体」の菅内閣をお盆の最中に叩くのは気が進まない。今回は、批判を一休みして、最近考えたことを書く。

 筆者は、今年の4月から7月にかけて、獨協大学で週に2コマ授業を行う機会を持った。一つはマネープラン(特にお金の運用)、もう一つはキャリアプランニング(職業人生設計)がテーマだった。先々週に試験が終わり、つい先日、採点が終わった。答案は記述式で平均ざっと1000字強、530枚の採点はなかなかの大仕事だった。

 慣れない授業を振り返り、学生の答案を読みつつ、何かと反省点の多い春学期だったが、答案を採点しているうちに、マネープランとキャリアプランニングに幾つか共通の落とし穴があることに気がついた。これらの落とし穴は、多くの人が陥りやすい普遍的なもので、これらを避けることが、2つの分野で上手くやっていくためのコツにもなっているのではないかと思ったので、些か大げさで気が引けるが、「三箇条」としてご報告する。

<第一条 「自分に意識を集中しない」>

 キャリアプランニングについて学生が書いた答案を読んでいると、キャリアプランニングにおいて一般的に重要なポイントとして、①「過去の自分を振り返る」、②「現在の自分を分析する」、③「なりたい自分と現在の自分のギャップに注目する」、といった趣旨の三点を挙げる答案が相当数あった。私は授業でこんなことを言った覚えはないので、たぶん、有名な就活本にでも書かれているのだろう。

 過去の自分の行動パターンを分析して自分の価値観を探り、現在の自分が持っている能力や個性を棚卸しして客観的に自己分析を行い、将来自分がなりたいと夢見る状態と現状との差を認識して、自分の長期的な行動計画を立てましょう、という趣旨の真面目な回答だ。明らかに間違いだと言える点はないし、賛成できる点もある。

 ただし、多くの学生がこれから就職活動に臨むことを考えると、この方向性で良いのかについては疑問が湧いてくる。

 率直に言って、関心が「自分」に向きすぎている点が心配なのだ。

 企業の側は、あるいはより正確には採用担当者は、自分達にとって「使える人材で、使いやすい人材」を求めている。有り体に言って、仕事がこなせる能力があるか、一緒に働いて感じが良いか、の二点が実質的な採用基準だ。学生(ないしは若者一般)の価値観だとか、夢だとかに興味があるわけではない。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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