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振興銀行破綻、竹中平蔵氏には責任があるか

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第147回】 2010年9月15日
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 日本振興銀行の経営破綻が決まった。13日には一部の店舗で預金の払い戻し手続きが始まり、約50億円の払い戻し申請があったという。一方、振興銀行創業の中心メンバーであり、前会長の木村剛氏は、同行の検査忌避の容疑で逮捕され、現在も拘留中の状態が続いている。

木村容疑者暴走の原因

 振興銀行は、現在、金融庁の検査に対する検査忌避と、大幅な債務超過に至ったずさんな経営が問題とされているが、後者に関しては、単に拙劣だったというだけでなく、相当程度意図的な不正があったのではないか、という印象を持つ。

 鍵になるのは、振興銀行の関係が深い融資先で作られた「中小企業振興ネットワーク」だろう。

 同行は、このネットワーク企業を使って銀行が直接貸せない先に迂回融資を行ったり、不良債権の表面化を避けるための操作を行ったりしていたようだ。また、融資先に融資と共に株式を取得して経営に関与し、この融資先から振興銀行に出資させて、結果的には、預金を自己資本に変える「自己資本の錬金術」を行っていたように見える。

 何れが違法と認定されるか、あるいはグレーに見えても適法ということなのかは今後の当局による捜査や検査の結果を待たなければならないが、これらは、木村氏が振興銀行の経営不振を隠す意図を持って考えた仕組みであるように思える。木村氏は、「無理かも知れないが、これに賭けるしかない」と考えたのではないか。

 しかし、こうした操作によって振興銀行本体の損益をプラスの形に出来たとしても、ネットワーク全体は不振企業の集まりであって、新たなキャシュフローを生んでいない。遠からず行き詰まることは、容易に見通せたはずだと思う。

 融資先を使うことによって預金を自己資本に変えるスキームを考えたときに、これで幾ら預金が集まっても十分な自己資本を確保できて「健全な銀行」を作ることが出来る、と喜んだかも知れないが、融資が不良債権化して、これがさらに悪化している以上、仕組みの全体が長続きしないという問題があった。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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