
4月7日、日経平均株価は一時、3万1000円台を割り込む急落となった。きっかけとなったのは、トランプ政権が打ち出した関税政策だ。私たちは何に注目して情勢を見ていけばいいのか、また敏感な富裕層はどう動いているのか。富裕層の資産運用・管理に詳しい筆者が解説する。(アレース・ファミリーオフィス代表取締役 江幡吉昭)
「トランプ関税ショック」で
日経平均が急落
「トランプ関税」をきっかけにマーケットが大きく揺れ動いています。週明けの4月7日、日経平均株価は一時、2900円超の大幅な下落を記録。1年半ぶりに3万1000円を割りました。
関税の悪夢といえば1930年、大恐慌時のスムート・ホーリー関税法が思い起こされます。このときは米国が約2万品目の関税を大幅に引き上げ、他国も報復関税を実施しました。
結果として、世界貿易の規模が6割超縮小したといわれています。当然株価も反応し、ダウ平均株価は1929年の恐慌前と比較して約9割の下落、為替も当時金本位制でしたが、最終的には金本位制を離脱することで各国の通貨安戦争が加速しました。そして、世界はブロック経済に突入し、デフレと失業が加速したのです。
1980年代の日米貿易摩擦も、関税の歴史では重要なイベントでした。米国が日本に対し自動車や半導体などで圧力をかけ、日本は市場開放を余儀なくされました。米国株は上昇し、為替は1985年のプラザ合意によって急速に円高ドル安となったのです。円高により、米国の貿易赤字は縮小しました。
歴史を踏まえると、現在は関税の話が主ですが、米国の自国通貨安誘導は遅かれ早かれ始まると私は考えています。